東京最後の聖域「にっぱら」 
 巨樹・巨木
 
日原川とガニ沢出会いのカツラ 
幹周  7.10m      樹高  35m       標高  750m 
 
 
   「巨樹の里・日原」といえども、集落の中で何本もの巨樹を見られるわけではない。5mを超える巨樹となると、「水垂れのトチノキ」「水垂れのモミ」くらいのもので、その2本は集落と共にある里の巨樹である。そして、日原の象徴たる野性味溢れる巨樹は、やはり集落から少し離れたところまで歩かないとお目に掛かることはできない。

 そのような環境の中で、集落に最も近い野生の巨樹が、この「日原川とガニ沢出会いのカツラ」になるだろう。集落から、日原川沿いに伸びる林道を遡ること約3km、林道下にこの巨樹は姿を現す。日原川が流れる、右岸の大岩の上に落ちたカツラの種は、数百年を経て今、このような巨樹に成長したことになる。大雨の時には根元を流れに洗われ、大雪のために折れた枝も少なくなかっただろう。

 すでに主幹は折れ、中心部にそのなごりを残すのみだが、周りの孫生(ひこばえ)は元気に成長し、天に向かって大きく枝を拡げている。この場所は日照時間が短く、そのせいか秋には美しく黄葉することもなく、緑色を残したまま葉を落とし始める。谷底から高く伸びたその枝は、限られた日光を求めつづけたこの巨樹の歴史でもあるのだろう。

 アクセスが簡単なことから、「金岱山のミズナラ」「倉沢のヒノキ」と共に、今まで多くの取材に応じてくれたカツラである。私自身も、東京都の広報の番組で、テレビカメラの前でこの巨樹を紹介した思い出がある。日原の野生の巨樹を知る上で、その入門編にふさわしい存在であり、余程の悪天候でもない限り訪れることが可能な親近感のある巨樹と言えるだろう。
 
 撮影日

 上  2001年  1月09日

 下  2000年  5月10日


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