巨樹・巨木
 
 金岱山のミズナラ
幹周  6,55m        樹高  25m        標高  1100m 
 
 
   「倉沢のヒノキ」と並び、今や日原の「顔」ともいうべき存在がこのミズナラである。巨樹見学者の数では、恐らくダントツの一位であるに違いない。テレビ出演も数多くこなし、雑誌の掲載にも大いに貢献してきた地元の広報樹でもある。ミズナラとしての巨大さ、そして樹形の特異さを併せ持つこの巨樹は、日原を一躍人気の巨樹探訪地に変えてしまった感があるが、意外にも地元ではよく知られた木であった。

 まずこの巨樹は、南に30度ほど傾いた樹形が最大の特徴で、さらに地上8m程のところに摩訶不思議な口と思えるようなコブがある。かつて、ほかの木の枝が接触していて、その枝を抱え込みながら成長を続け、いつしかその枝が朽ち果てなくなり今の姿になったのではないか、と言われている。見る場所によって印象が随分と違う木で、その何処から見ても様になる。貫禄というものだろうか。

 「金岱山のミズナラ」と名付けられてはいるが、本当のところこの木は「人形山」にある。金岱山は、この地よりさらに200m程標高を稼いだ場所なのだが、この巨樹の「命名者」が、人形山よりも金岱山の方が聞こえがいいということで、今の名前になったのだろう。このミズナラの周辺には石が集められた形跡や、整地したように見える場所があることから、かつて宗教的施設の建設の予定があったとも云われている。どうやら昔から人の出入りのある場所であったようだ。

 しかし現在、見学者の増加で根回りが踏み固められており、木への影響が懸念されている。私個人でも、多くの見学者を案内してきたこのミズナラである。そのせいか、一人での山行の時には滅多に行かない場所でもあり、そっとしておきたい気持ちもある。日原の顔が、いつまでもその姿を留めておいて欲しいと願うのは、この巨樹を見た人なら自然に芽生える気持ちではないだろうか。


 追記: 
*金岱山のミズナラは現在、ウッドサークルに囲まれて根元への立ち入りは出来ません。

*2013年八月 大枝損失のため写真の樹形とは異なります。
 
 撮影日

 上  2009年 11月08日

 下  2000年  5月24日


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