東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
倉沢のヒノキ
 
幹周  6.10m      樹高  33m       標高  650m 
 
 
 「倉沢」。はるか室町時代まで遡る、修験道栄えた歴史あるこの里も、近年の過疎化の波には勝てずにとうとう無人の山里となってしまった。奥多摩駅から日原川を並走する日原林道を遡り、倉沢橋を渡って正面に突き当たる尾根上で、この倉沢のヒノキは集落の長い長い歴史を見守り続けてきた。

 倉沢のヒノキは、かつて倉沢鍾乳洞を本宮とする「倉沢権現」の神木であり、人々がこの地に移り住むそれ以前より生き続ける天然木であると思われる。倉沢のヒノキは別名、「1000年ヒノキ」とも地元では言われているが、その樹齢は600年説もあり、なんとも「千年」のブランドに説得力を欠いていたのも事実である。

 しかし、わたしはこのヒノキの落ち枝を持ち帰り、スライスして年輪を数えてみたことがある。中心から、3.2cmの間隔に一体何本の年輪が刻まれているのか。驚く無かれ、なんと150本もあったのである。つまり、直径6.4cmの枝に成長するために、150年もの歳月を要したことになる。幹にこの数値は当てはめられないが、いくら枝とはいえ、樹齢600年ではありえない成長の遅さだと思う。これは個人的な見解ではあるが、私はむしろ樹齢1000年以上と考えている。

 ちなみに現在この落ち枝は、日原森林館に保存、展示されている。スライスした切り口は未だに樹脂が満ちてヒノキの香り漂い、枝としての命はいまだ尽きてはいない。それは恐るべき生命力を持つヒノキの落ち枝らしく、「腐っても鯛」ならぬ、「朽ちてもヒノキ」と賞賛したくなるほどである。。

 
 撮影日

 上  2000年 10月03日

 下  2000年 10月03日


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