----- 山 - 行 - 記 - 録 -----
 


     
 
日原林道探検隊
2009/11/22

この日の天気予報では、午後三時頃から雨でそのまま降り続くというもの。気温は朝から真冬並みに低く、その上雨に濡れては敵わないと思い、探検隊は山奥には入らずに日原林道沿いの隠れた巨樹・巨木を尋ねて歩くことにした。
ヒデさんの車で日原林道最深部まで進み、まず長沢谷のカツラ、長沢谷上のミズナラを対岸の林道から確認する。やはり長沢谷上のミズナラの大枝の欠損は痛々しい。狭くなった樹冠が気になるが、どうやら残された二本の大枝は大丈夫そうである。
しかし今回は、ほとんど知られていない巨樹・巨木が目的なので、そこを後にして「長沢谷上のブナ」に向かうが、かつて10年近く前に歩いた道(といっても獣道だが・・)は判別がつかず、かなり急な尾根を登り上げてそこからトラバースしてブナのある尾根に取り付くことにした。なんとか辿りついて久々の対面を果たしたが、特に変わった様子もなくその逞しい姿を披露してくれた。(写真左)
その後林道を下り、「赤石尾根のブナ」を目指す。このブナも長沢谷上のブナと同じようなところに根付いているが、こちらの方は比較的アクセスは簡単である。(とはいえ、ケモノ道を辿ることになるのだが・・)このブナは相変わらず美しい。葉を落としたばかりで、その樹形がさらに際立っているようだ。しかし、とにかく寒い・・。天気予報でも伝えていたが、標高1000mぐらいのこのあたりでは、0℃ほどではないだろうか。
ジッとしていると凍えそうなので、そこを引き上げて次は「天狗のカツラ」を目指す。今年2月、探検隊初の山行はこの巨樹から始まった。そのうち再訪しようと思いながら今日に至ってしまったが、またまた葉の無い時期の訪問となってしまった。このカツラは雄なので、次こそは赤い花の咲く早春に訪れようということにした。ただカツラは元気そうで、ますますその存在感を増したように感じた。(写真中)
この天狗のカツラのある場所から尾根伝いに日原川に降りて行くと、かなり足場の悪い急斜面に「翠竿のオノオレカンバ」がある。今回はこの巨木をHPに紹介するために、改めて写真を撮りに行くことにした。近づいてみて、その樹形の凄さに驚かされる。苔に覆いつくされたその姿は、清流を見下ろすように谷へと倒れ込んではいるが、樹勢は一向に衰えていないようである。(写真右)

 
     


     
 
人形山尾根探検隊
2009/11/15

先週のメグスリノキの巨木の紅葉を、今週こそはゲットしたい!と思い、sizukuさんとヒデさんを巻き込み探検隊での出動となった。しかし、日照時間の関係で人形山尾根へ急ぐはずの予定は、小川谷林道から見えるあまりにも鮮やかな紅葉の木々に見とれて、すっかり時間を費やしてしまった。(写真左) 仕方ない・・・これが探検隊である。その時に見て感じたものに立ち止まり、心行くまで楽しむ。それでイイノダ。
紅葉は小川谷沿いに止まらず、スミクボの登山口から急登の坂にも彩りを添える。イロハモミジ、チドリノキが今まさに旬といったところか。メグスリノキもここではよく目立つ。
タワ尾根が近づく頃になると、さすがに紅葉は終わり、フカフカの落ち葉の尾根で昼食にする。気温も快適で、吹く風も冷たくはない。sizukuさんとヒデさんのおかげで、「ここは山か?」というようなリッチなランチをいただくことができた。
それから「金岱山のミズナラ」をほぼスルーして、人形山尾根に足を運ぶ。標高を下げるにつれて、またまた彩り豊かな紅葉が行く手を遮る。なかでも真っ赤なイロハモミジは、特に探検隊の目を引いて止まない。(写真中) 目的のメグスリノキは、まだ尾根の下なのだが目の前の紅葉にカメラのレンズが向いてしまう。そして時間は刻々と過ぎてゆく・・・。
さて、肝心のメグスリノキに到着した頃には、すっかり陽も翳り、撮影には向かない状況であったが、メグスリノキそのものもやはり時期が遅すぎた。(写真右) 先週の見立て通り、紅葉の旬は数日前だったようである。まあ、結果オーライというで。(^_^;) 

 
     


     
 
人形山単独行
2009/11/08

入山前に森林館でパソコンを見ていたら、すっかり出遅れてしまい10時の出発となってしまった。人形山尾根から登り上げて、金岱山頂上直下に出ようと考えていたが、予定を変更してスミクボの登山道から入り、タワ尾根から人形山尾根へと移動してメグスリノキの巨木の紅葉を見に行くことにした。
タワ尾根の一石山あたりは紅葉のピークは過ぎてはいるが、まだ燃え残るカエデの赤やミズナラの黄色が目を楽しませてくれる。(写真左) 紅葉真っ盛りの頃よりも、むしろ数少ない紅葉した木々の姿は鮮烈で、晩秋の森に浮かび上がる星屑のようである。
そのままタワ尾根を登り「金岱山のミズナラ」に到着してハタと気付く。今年購入したデジタル一眼で、このミズナラは撮影していなかったと・・・。そこで幸い他に人もいなかったので、三脚を構えしばらく撮影を続けた。(写真中) しかし以前と違い、ミズナラの周りにサークルができて立て看板(サークル内の立ち入り不可)もあると、なかなか思い通りのアングルは取れない。この写真も、看板が写りこむことを承知で撮影をしている。ただ、巨樹保護のためには仕方ない方策だとも思う。日原一の人気の巨樹は、サークルがなければ恐らく寿命が縮むことになっただろう。
そこから人形山尾根へと下り、目的の2本あるメグスリノキの巨木を見に行く。人形山尾根もタワ尾根に負けず劣らず、遅めの紅葉樹が尾根を彩り、撮影に時間を取られてしまった。お陰でメグスリノキに到着した頃には光がタワ尾根に隠れてしまっていた。しかし2本の巨木とも紅葉のピークには早く、かといって次の予定の一週間後の日曜日には遅すぎといった感じだろうか。(写真右) 次回は探検隊で訪れることになっている。

 
     


     
 
裏山単独行
2009/11/01

この日あたりが標高1000〜1200mくらいの紅葉のピークではないか・・と以前から睨んでいたが、日原に到着してさっそく稲村岩の方向を見ると、その予想は見事的中したようだ。朝の光に包まれた稲村岩周辺の様子は、これはもう撮るしかないでしょう!と言うしかない美しさで、知る人ぞ知る絶好のポイントに足を運び思う存分シャッターを切る。(写真左)
しかし、あまり稲村岩に囚われていると山に入る時間がなくなるので、集落の裏山に足を進める。今日の天気と紅葉の様子では、金岱山には大勢の人が詰め掛けているだろうが、対岸にあたるこちらの方は閑散としたもので、クマタカの鳴き声がさかんに聞こえてくる。どれどれ、金岱山の紅葉はどんな感じだろうと木々の狭間から覗いてみれば、やはりなかなかの色付きのようだ。金岱山の内側の画像はよく見掛けるが、外から見たタワ尾根や金岱山は意外に知られていないのではないだろうか。(写真中) さて、みなさんには金岱山のミズナラがどのあたりにあるか、お解かりでしょうか?
金岱山と同様にこちらの山も紅葉は進んでおり、コハウチワカエデ、オオカエデ、ホソエカエデ、ヤマモミジのカエデ類が目を引くが、ブナやミズナラの黄葉も味わいがある。天候にも恵まれ、光に透けた葉が煌いている。(写真右) ちょっと目眩がしそうな彩りの森であった。今年は久しぶりに紅葉の当たり年・・・かもしれない。

 
     


     
 
金岱山探検隊
2009/10/18

日原一の人気の巨樹「金岱山のミズナラ」 探検隊はあまり人気の多い場所には出没しないが、今回は諸事情のためにこのスポットに照準を絞った。しかしそこは一般の登山者と違い、探検隊は登山道から何度も外れては遊びまわり、金岱山のミズナラに到着したのはなんと午後3時近くという寄り道だらけの山旅であった。
籠岩下の登山道入り口から登り上げているうちに、何本かのメグスリノキやカエデはすっかり色付いて、緑の葉陰からその存在感をアピールしている。スミクボを折り返し、タワ尾根に至る自然林の斜面からは木々の枝越しに対岸のヨコスズ尾根の山々が垣間見られる。やはり少しずつ木々は色付いているようだ。(写真左)
タワ尾根筋に登り上げると、木々によってはかなり紅葉は進んでいる。ヤマザクラ、カエデ、ミズキなどは今が盛りの様相で、光に透けた葉の美しさは探検隊を狂喜させてくれた。なかでもヤマザクラの紅は、丁度今が旬といったところだろう。
そこから燕岩に下ると、さらにそこには絶景が待っていた。普通、燕岩といえば周りの山々を見渡せる展望が売りだが、今回に限っては燕岩に連なる一石山方向が一番の紅葉であった。(写真中) 探検隊はここで紅葉を眺めつつ、鳴き声が聞こえていたクマタカの飛翔が見られるのではないかと昼食にしたが、残念ながらその姿は確認できなかった。
後ろ髪を引かれつつ、見事な紅葉の景色を後にして「金岱山のミズナラ」に向かう。・・・が、その単純な一本道の尾根でも探検隊は道を外す。ミズナラやブナの巨木をすり抜ける獣道を辿り、金岱山の懐の深さを思い知らされる。そしてやっとたどり着いた「金岱山のミズナラ」は、さすがに格が違う。今まで見てきたブナやミズナラの巨木が、一気に色褪せるほどの迫力である。(写真左) このミズナラも梢の方では黄葉を見せ始めていた。
帰りの人形山尾根でもナツツバキ、ツタウルシの見事な紅葉を堪能し、探検隊としての初めての金岱山は、予想以上の驚きと歓喜を我々に与えてくれた。

 
     


     
 
裏山探検隊
2009/10/11

探検隊の今日のフィールドは、集落の裏山ヨコスズ尾根に行くことにした。個人的には何度も通っているが、探検隊としては初めての場所になる。
いつものように森林館の裏から入山して、人工林の森を九十九折れに登り上げていく。やがて森は自然林へと姿を変え、その先に見えてくるのが「一石山大権現のツガ」(写真左) 何度訪れてもその見事な樹形には見惚れてしまう。さらに探検隊は、かなりキビシイ斜面を降りて木を下から見上げてみる。そこからは根の張り、枝振りの凄さが際立っている。
この一体はツガの巨木が数多く、ズラリとツガが並ぶ尾根もある。その尾根を降りて行くと、見通しの利く岩場に出て対岸の燕岩や金岱山を見ることができる。もうすでにミズキの葉は紅葉し、あたりに秋の風情を漂わせていた。(写真中)
再び巡視道に戻り、さらに高度を上げていくと道のはずれの岩場にツガの巨木が根付いている。これまた凄い樹形をしているが、私もまだホームページ上にはUPしていない知られざる名木の一つだろう。(写真右)
今年は木々の果実類が豊作のようで、ミズナラのドングリは足の踏み場もないほどに地面に敷き詰められている場所もある。クリやトチノキ、ズミ、ヤマナシなどもいつもの年より数多く見掛けている。数年に一度、山の動物たちが食べきれないほどに実を落とし、自らの子孫を後世に残そうとする木々にとっても特別な年なのであろう。

 
     


     
 
日原集落裏山の巻
2009/09/22

今日は4ヶ月ぶりに、裏山のヨコスズ尾根に行くことにした。ヨコスズ尾根といってもボクの場合、一杯水まで行くことなど滅多になく、だいたい滝入りの峰手前あたりでウロウロしているのが関の山なのだが・・・。
まずは日原小学校の体育館脇から侵入、そのまま賀老谷への道を進む。ヨコスズ尾根は、どこから登っても最初の30分くらいは急坂が多く、今日のような涼しい気温でも額に汗して進まなければならない。そしてそんな登りが一息着いたところで、一石山大権現のツガが姿を現すのだが、なんとカモシカも姿を見せてこちらの様子を伺っている。いつまでも見詰め合っていても仕方ないので、こちらが動き出すとヤツは脱兎の如く斜面を走り去ってしまった。今日のノルマの一つは、この一石山大権現のツガをデジ一でしっかり写すこと。かなり厳しい斜面に根付いているために、こちらもその斜面を下ってツガの下に回らなければならないが傾斜角45度はあるかも・・・。しかし、そこまでして写す価値のある見事な樹形である。(写真左)
それからしばらく先へ進み、道を外れて秘密の斜面に取り付く。結構キツイ登りだが、そこからヨコスズ尾根を目指す。その途中に日原の雄?「ヨコスズの雄ブナ」がチン座している。う〜ん、今日も彼は元気そうだ。(写真中)
ここまでくれば尾根まではもうすぐ。風そよぐ広葉樹の森で、お昼をいただくことにした。近くに地バチの巣が荒されていて、すっかり中身が掘り返されてなくなっている。多分クマだろうと思うが、濡れている土の様子から昨日か今日の仕業に違いない。しかし、ここにジッとしていると、キツツキのドラミングやミズナラやクリの実が落ちる音、ゆるやかに風が通り過ぎる空間が時間を忘れさせてくれる。
とはいえ、いつまでもここに居るわけにはいかないので、森林館へのおみやげの大き目のミズナラの実を拾いながら、初秋の尾根を下ることにした。集落が近づいた人工林の森の中に、ツブカラカサダケという食毒不明のキノコが顔を出していた。見た目には食えそうなのだが・・・求む!チャレンジャー(笑)

 
     


     
 
大学生と金岱山へ
2009/09/17

一昨年に続いて、玉川大学教育学部・梅木先生のゼミ受講生の若者達40名を含む総勢45名の集団は、森林館から賑やかにのんびりと金岱山を目指した。集団は4班に分けられ、1班のガイドはボク、4班のカイドにはHgさんがつくことになった。1班の若者に聞くと、山登りが始めての者も多いとか。標高差400m強の金岱山のミズナラまで、果たして全員脱落することなく登れますことやら・・・
さて、登山口からの急登は山登り初心者にとってはかなりツライ。ここでボクの普段のペースで登って行くと半数は脱落、Hgさんのペースなら全員が脱落してしまうに違いない。先頭のボクは、後ろを確認しながらペースを調整する。なんだかんだ言いながらも、学生達は逞しい。油断すれば落ちる危険もある急登を、口数は少ないながらも着いて来る。(写真左) ただし、「帰りはここを下るからね〜。」と言うと「エ〜ッ!!」と元気なお返事。
急登を過ぎて登りが緩やかになると、学生達も余裕が出てきたのかシリトリなんぞをしながら着いて来る。そのシリトリというのがまた面白い。テレビドラマで、いかにもありそうなセリフのシリトリ。その一人一人が捻り出すセリフに、何度も笑わせてもらった。
九十九折れの道上から下を見下ろせば、Hgさん率いる4班がこちらにカメラを向けている。(写真中) そのHgさんが下から叫ぶ。「燕岩の頭に行きましょう〜!」燕岩の頭への岩場に苦戦しながらも、学生達はその眺望を目の当たりにして大興奮。こんな高さから見る山の景色は、登山初心者にとっては衝撃的だっかもしれない。
2班の到着を待って燕岩から折り返し、金岱山のミズナラへとタワ尾根のなだらかな道を辿る。学生達はさかんに目的地への到着時間を気にする。「あと25分」「あと10分」と応えて最後に「あと3分」と言うと、「あとカップヌードル!」と後ろに伝えていた。なんだか・・・。
金岱山のミズナラとの遭遇は、やはり学生達にもインパクトがあるようで、さかんに感嘆の声を上げていた。風も涼しげで、ここまで登り上げて火照った体には心地よかった。早速、お昼となる。ミズナラも、これだけの集団に見られるのは久しぶりではないだろうか。その後、思い思いに記念撮影。(写真右)
帰路は人形山尾根側から降り、スミクボに出て、朝来た道を引き返す。学生達も下りは楽なようで、登りに比べたら口数も増えている。たださすがに最後の下りは、登りとは勝手が違うようで、しゃがみ込んで恐々降りてゆく者も多かった。彼女等にしてみれば、自分の命に危険を感じるようなはじめての経験だったのかもしれない。そして時間は掛かったものの、全員無事に下山することができた。
しかし、なんとも華やかで、賑やかで、若者が眩しく輝いて見えた山行だった。

 
     


     
 
熊宿の森 2
2009/08/30

八月最後の日曜日、日原探検隊は再び熊宿の森へと向かった。前日の天気予報では、奥多摩は朝から雨・・・のはずだったが、日原に到着すると曇り空は拡がってはいたが、しばらくは持ちそうな様子だった。
ヒデさんの車に乗って日原林道の奥まで進み、いつもの人工林から森に入り、しばらく進むと森は自然林へと姿を変える。やがて耳に聞こえてくる轟音は、幻冬の滝。木々が葉を落とした冬場にだけ、その全貌を現すことからこの名前がある。生い茂った木々から垣間見えるその滝は、水量も豊かで見応えがある。探検隊の今日の目標は、谷沿いを歩いてこの滝の下に行くことだった・・・が、残念ながら午後から降り出した雨のために断念することにした。
滝を見下ろす場所から左を見ると、熊宿の森のブナが出迎えてくれる。端正な樹形に一際目立つ灰白色の樹皮は、この巨樹の森の看板娘のようでもある。(写真左)
さらに森を下り、蝋燭のトチノキの様子を確認。他のトチノキがたくさん実を付けているのに比べ、この巨樹には一つの実も見つけることが出来なかった。やはり、子孫を残すほどのエネルギーは残っていないのかもしれない。
そして谷も近づいた斜面に、幹周2.69mのホウノキのがあった。(写真中)日原でも幹周が3mを超えるホウノキは見つかっておらず、これでもなかなかの大物ということになる。その木の下で、まだ落ちて間もないと思われる実を発見した。(写真右)そのあまりにもあざ鮮やかな色に、探検隊は思わず色めき?立った。まるで南国のフルーツを思わせる色と造形は、森の不思議に満ち溢れた「落し物」であった。
そろそろ昼食にしようとした頃に小雨が降り出し、前回同様に山葵田跡にある簡易な小屋に潜り込む。sizukuさんとヒデさんは、それぞれバーナーを持ち込み、手早くアウトドアクッキングを披露。思いがけない料理に舌鼓を打たせていただいた。雨の勢いは弱く、食事の後の行動には全く支障のない程度だった。

 
     


     
 
熊宿の森、雨・・・
2009/08/02

今年6連勝と圧倒的好天気を継続していた日原探検隊の記録は、この日7戦目で途切れてしまった。今朝、青梅線に乗車していた時までは持ち堪えていた天気も、下車後はポツポツと降り出し始めてその後止むことはなかった。
しかし、探検隊は出発する。この日目指すのは今年初めての「熊宿の森」で、雨でも避難所を完備?している打って付けの場所である。日原林道から人工林の森に忍び込み、道なき道を選びながらしばらく進んでいくと、やがて森は自然林へと変わってゆく。雨は相変わらず降り続いているが、木々の葉が受け止めて我々に直接振り注ぐことはないので、行動にほとんど支障はなかった。
自然林が少し平坦になってきた頃、雨の森の向こうに現れてきたのは「熊宿の森のブナ」である。(写真左)いつ見ても美しい樹形で、降り注ぐ雨を受け止めた葉が枝を通して運ばれ、逞しい幹に水の道が出来上がっていた。熊が登る木としても知られ、今年も実を付けた頃にはまた新たな爪痕を幹に刻むに違いない。
さらに進むと、そこにだけ光が当たっているように見える大きな幹は「蝋燭のトチノキ」(写真中)このトチノキに会うと、まず確認したくなるのが存命か否かということである。かなり以前から幹折れしていながらも、驚異の生命力で生き続けてはいるが、会うたびに恐る恐る残された枝先を見る。大丈夫!今年も細い枝にはしっかりと葉を広げている。少ないけれどきっと実も付けていることだろう。
そこから左方向に移動すると、小さな尾根越しに大きな枝が見えてくる。その尾根を巻いて見えてきたは、山葵田跡の上に鎮座するユニークな巨樹「欠伸のカツラ」だ。(写真右)山葵田の最上部には水が湧いているので早速喉を潤す。「欠伸の涙」と名付けたここの水は本当にウマイ!カツラも以前と変わりなく、逞しくも愛敬のある姿は健在であった。
少し雨脚が強くなり、山葵田の簡易な作業小屋で昼食。小屋のトタン屋根は、雨脚以上に雨音を増幅させるが、外を眺めるとそれほどでもない。雨の森を目の前におにぎり・・・悪くない。いや、かなりイイかもしれない。
その後、メグスリノキ、ケヤキ、イタヤカエデの3本の巨木が整列した「熊宿三樹」を眺め、「滝上のトチノキ」あたりに差し掛かると雨は上がり、うっすらと日も出てきた。さすが晴れ男二人と晴れ女一人が揃うと、こんな天気でも晴れてくるのか・・・と思ったのも束の間、やがてにわかに空は暗くなる。また一雨来そうな気配に退散することにした。やがて降り出した雨は、林道に出て車に乗るあたりから今日一番の勢いになり、車で下山する道は雨水が勢いよく流れる道と化していた。いつもより早い下山は正解だったようである。
探検隊初の雨も、雨でしか味わえない森の表情や風情に出逢えて、ことのほか楽しい山行となった。こんな日は一人きりでは淋しいものだが、三人でいるとこうも違うものかと改めて想った次第。少々の雨では、日原探検隊の中止はなさそうである。

 
     


 
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