----- 山 - 行 - 記 - 録 -----
 


     
 
さらば・・風神のブナ
2017/04/21

 いわゆる一身上の都合により、この4月末をもって東京を離れ故郷の熊本に帰ることになった。そして、この日が最後の日原詣でとなり、当初から行く場所は決まっていた。私が最も足を運び、最もカメラのシャッターを押した巨樹「風神のブナ」である。平日のせいもあり、奥多摩駅から日原鍾乳洞行きのバスの客は私一人の貸切であった。

 午後から一時的に雨となる予想はあったが、曇天の空は意外と明るく気温も快適である。今日はただ、風神のブナを目指す。目的地に近づくにつれ、ブナの木は他の木々よりも早く小さな若葉を拡げていることが分かる。風神のブナもきっと同じだろうと思いながら歩を進めると、やや標高を上げたせいかまだ芽吹いたばかりであった。

 このブナに逢いに来るのも最後か・・と思うと感慨もひとしおである。全ての季節どころか、一年全ての月にこのブナを訪れている。そこまで夢中になったのは、ひとえにこのブナの神懸ったオーラに触れてしまったからであろう。特に雪の積もる凍てつく冬の日は、圧倒されるほどの美しさを見せつけたものである。私が「風神のブナ」と名付けた理由はここにあった。

 注意深く木の周りを回る。折れている枝はないか、枯れた枝は増えていないか。そんな樹木医のような目線を送りながら、様々な角度から撮影をする。(写真左) 撮影を一段落して、ブナを見ながらおにぎりを頬張る。そしてつくづく想うのは、私の東京での暮らしはこのブナにづっと励まされていたということである。このブナのように力強く、質素な美しさを持てる人になりたいと願い続けていたのかもしれない。

 午後になると、傘がいらないほどの細かい雨が降り始めた。土砂降りになれば退散するつもりであったが、空を見ると暗雲は見当たらない。そのまま撮影を続けていると、その後は細かい雨が降ったり止んだりの天候だった。ふと足元を見ると、芽吹いたばかりの枝が落ちている。大方小動物が枝をかじって落したのだろう。せっかくだからブナの横枝に乗せ撮影する。(写真中)

 かつて、このブナが発見された2000年当時の幹周りは4.10mであった。その17年後、再度計測を試みる。結果は4.16mということでまだ成長の過程にあることに安堵する。(写真右) さて、いよいよ別れの時である。「風神のブナ」に感謝の言葉を送り、またその長寿の祈りを込めて樹皮をやさしく摩った。本当は日原の森に訪ねた巨樹一本一本に、同じように別れを告げたい気分であった。

 
     


     
 
真夏のような芽吹き時
2017/04/18

朝から交通機関の運転見合わせがあるような風雨の中、ダメもとで目黒から奥多摩に向かうことにする。ところが天候は韋駄天の如く回復して、青梅線に乗る頃には雨も止み、さらに奥多摩駅に着く頃には日が差すほどであった。ならばこの時期に丁度花見が出来るとすれば倉沢だろうと目論み、今年二回目の奥倉沢に向かうことにした。

倉沢橋に到着すると、そこから見える山肌には満開のヤマザクラが点在して丁度見頃であった。そのまま林道を進んで行くと、道の上にも枝を伸ばしたヤマザクラが咲き誇っている。(写真左)派手さこそ無いが、そこはかとない美しさはヤマザクラならではのものだろう。ただ、残念ながらヤマザクラの花が見られたのは林道までで、そこから巡視道へ入り奥倉沢に向かうべく山に分け入ると花はまだ蕾であった。

シオジクボのカツラに差し掛かると、枝先が少し赤っぽい。これは花が咲いているのでは?・・・と、厳しい斜面を登り上げるとこれから花が咲こうとする蕾が枝を赤く見せていたようだ。しかし、このカツラの樹高は周りの木々と比べて飛びぬけている。けして日当たりに恵まれた場所ではないが、これほどの巨樹になるには限られた日光を独占する必要があったのだろう。

奥倉沢最深部の小じんまりとした滝は、2月の氷結した様子とは打って変わってすっかり春の光に包まれていた。(写真中)滝壺をよく見ると魚が泳いでいる。どうやらヤマメのようだ。真夏のように上がった気温もこの時ばかりは感じられずに、心地好い滝音と沢風に癒されるひと時であった。

再び汗をかきながら巡視道を歩き、棒杭尾根のブナに辿りついた。ブナはまさに芽吹き時。淡い小さな葉を枝一杯に拡げ、奥多摩のブナでも有数のこの巨木は、今年も旺盛な生命力を見せつけているようだった。(写真右)

 
     


     
 
圧巻の孫惣ブナ
2017/02/19

いつ以来だろうか。天祖山中腹にあるあのブナの聖地を訪れるのは・・・。今年に入って「風神のブナ」、「棒杭尾根のブナ」と日原を代表するブナを愛でに行ったが、今日は幹周りが4mを超えるブナが三本も寄り添う森に向かうことにした。日原林道から八丁橋を渡り孫惣谷林道へと入る。日向こそ雪は融けているが日陰に入るとまだ残り、林道沿いにある沢は水しぶきが氷結している。気温は高めではあるがまだ春は先のようである。

久しぶりに巨樹に出会うことは感慨深くもあるが、果たして元気な姿が見られるのかという一抹の不安もある。天祖山中腹に取り付き、九十九折れの道を登る途中にまず一本目のブナの大枝が尾根越しに見えてきた。「大丈夫だった・・・」との安堵と同時に、脚は道なき斜面を急ぎブナの根元に辿りつく。幹や枝ぶりは以前にも増して逞しく見える。実際10年以上前の計測より、幹周りは8cmも大きくなっていた。(写真左)

巡視道に戻りさらに登り上げると2本目のブナが姿を現す。「これも大丈夫!!」大枝の欠損も見られず、4mを超えるブナとは思えないほどに若々しい。以前からツルマサキという着生植物と共存しているが、これがまたこの巨樹に古木の趣を与えている。このブナもかつてより10cmも幹周りが太くなり、今だ健全に成長をしていることが窺える。(写真中)

さらに登り、3本目のブナも健在。欠損も見られず見事な樹形で、このブナも以前より7cmも太くなっていた。(写真右) 現在この3本の大ブナは、全て幹周りが4m10cmを越え、どれも衰えを見せるどころかまだ成長過程にあることが嬉しい。一般の登山者とは無縁のこの地ではあるが、天祖山の中腹にこんなブナの聖地があることが奥ゆかしく思える。数百年の命達は今日も孫惣谷を見下ろし、冬の風に晒されながらもそれぞれが力強く根を張っていた。

 
     


     
 
春っぽい奥倉沢
2017/01/28

冬にしては暖かく、また土曜日ということもあり奥多摩駅の日原行バス停には、私を含めて登山者達が長蛇の列を作った。臨時バスも出ることになり、結局そちらに乗り込んで倉沢バス停にて下車する。倉沢林道から棒杭尾根を登り上げ、蕎麦粒山を目指す予定の集団もゾロゾロと降りて、しばしこのバス停も賑やかであった。

私も倉沢林道を遡り、魚留橋付近から九十九折れの巡視道を登り上げる。雪が残ってはいるが歩くのに不便はなく、木橋の上も凍ることなく進むことが出来た。巡視道がシオジ窪に差し掛かる頃、斜面を見上げるとカツラの巨樹が姿を見せる。雪が無ければそこまで辿りつくのは容易であるが、雪がかすかな獣道を消し安全なルートが分かり辛い。何度か歩いた記憶を呼び覚まし、雪の斜面をなんとか「シオジクボのカツラ」の根元まで辿りついた。この巨樹は若々しい。主幹が朽ちずにここまで大きくなるカツラは珍しく、ミズナラの大木を想わせるような迫力がある。(写真右)

さらに巡視道を奥に進む。ここに小さな小滝と小じんまりとした滝壺があり、氷結した滝のしぶきが周りの岩に不思議な景観を作り出す。(写真中)今日は気温も高めではあるが、この時間まで解けることなく残った自然の繊細な芸術を堪能出来てラッキーだった。

巡視道は棒杭尾根に差し掛かると、この尾根上には只者ではないブナが見えてくる。以前はこのブナの側に棒杭尾根のツガとうこのブナよりも大きい巨樹があって、まさに両雄が並び立っていた。しかし現在、このツガは倒伏してブナの足元に横たわっている。長きに渡りこの森の僚友として生きたツガが倒れた今も、この棒杭尾根のブナは逞しい姿を尾根上に見せてくれている。日原にブナ多しと言えど、これほどの存在感は皆無に等しい。(写真右)

 
     


     
 
風神のブナ・冬
2017/01/14

外にある温度計が0度ほどを示す森林館を後に、冬の風神のブナに対峙すべく出発する。登山道に残る雪は少なく、踏み後もほとんど無いために登りやすくはあるが、山からしばらく離れた身体に急登の坂道はツライ。標高を上げるにつれ降り積もった雪は多くなるが、その頃には道の傾斜も緩くなり足元が滑ることもなく目的の風神のブナに着く。(写真左)

日原最大級のブナとはいえ老木である。まず気になるのは、前回に訪れた時と比べてその姿が変わっていないかということである。大枝の欠損があれば木の周りにその枝が落ちているものだが、雪の斜面には全く見当たらない。見た目にも以前とは変わらず、このブナの「ブナ守」を自負する私はようやく安堵する。力強い根の張りも頼もしい。(写真中)

しかし寒い・・・。登山をしていれば身体も温まるが、ブナを観察して撮影するには体温を奪われる。尾根上にあるために風も強く、さらに今日は日差しにも恵まれていない。空も白く、地面も白く、ブナも白い。写真としてはなかなか面白いが長居は禁物である。昼食は風の無い尾根下に逃げ、震えながら冷たいおにぎりを頬張ることになった。

その後、尾根をさらに登り上げてみる。雪はますます深くなり、登山道も痩せ尾根などの緊張感を強いる場所も増えてきた。帰りの時間を考えると今日の登山はここまで。見通しの利く尾根上から対岸の山を望む。(写真右)

 
     


     
 
オロセ尾根に遊ぶ
2016/05/22

オロセ尾根を訪れたのはいつ以来であろうか。かつて毎週のように孫惣谷林道の奥に入り、未知の巨樹探しに熱中したものだが、今回のようにオロセ尾根を登り上げるのは、10年以上も前になるのかもしれない。しかし、それでも不思議と訪れたことのある山道の記憶は蘇り、そのサポートになるのが「森の灯台」である巨樹・巨木の存在であった。

オロセ尾根にはかつての山葵田があり、その周辺は巨木の森でもある。ツガ、カツラ、ミズナラ、ケヤキ、イヌシデとその樹種も豊富で、その個性を見比べてみるのも面白い。ケヤキは巨木ともなると、古い樹皮が捲れて新しい樹皮と入れ替わる。しかし、このケヤキのようにボロボロと言えほどの姿を晒したものは珍しい(写真左) 見方によってはホラー映画に出てきそうな雰囲気がある。

イヌシデは古木になるほどその姿はマッチョになる。筋骨隆々という表現がピッタリで、このイヌシデも年季の入った力強い樹形をしている。(写真中) 全国的にもイヌシデの巨木は少なく貴重な存在だが、かなり足場の悪い地形にあるために一般の登山者向けではないのが残念だ。

しかし、この時期は小蠅が身体に付き纏ってイヤになる。日原ではこの小蠅をメマブリと呼ぶらしい。お昼におにぎりを食べるにも、ヘタをすると一緒に口にしそうになる。若葉もまだ美しく気持ちの良い季節なだけに、このメマブリには神経を逆なでされる。まさに読んで字の如く五月蠅い(うるさい)存在である。

オロセ尾根から降りた後に、久しぶりに日原川とガニ沢出会いのカツラに逢いに行く。午後の光が谷を照らし、透過したカツラの若葉が美しい。(写真右) 谷が直下にあるので気温も涼しく一息入れるには持って来いの場所である。カツラも以前と比べて折れた枝もなく、日原の広報樹でもあるこの巨樹の健在に安心して帰路に着く。

 
     


     
 
名栗沢再び
2015/07/25

梅雨明けからの連日の猛暑で、精神的にも肉体的にも「怠けたい・・・」という誘惑を断ち切り、太陽燦燦の日原に向かうことにする。しかし、こんな高温の日は出来れば涼しい場所に限る。さらに言えば登りはキツくない方が良い。この楽をして快適な場所の選考で思いついたのが名栗沢遡行であった。

日原林道を名栗沢まで。八丁橋からなだらかな林道を登るだけの行程だが、この気温の高さに身体から汗が噴き出る。時折尾根を巻いて吹く風に癒されるが、目的の名栗沢に着く頃にはすでに熱中症手前の気分である。しかし、ここからが待ち望んだ別世界「名栗沢」である。この沢を遡行するのは2009年2月以来、実に6年ぶりとなる。

名栗沢のトチノキへと続く遊歩道からそのまま沢沿いに入ると、今までの熱気に満ちた空気は一変する。これだ。この涼しさを求めてここまで来たのだ。足場の悪い岩場もなんのその、天然クーラーの効いた快適な沢を嬉々として遡行する。(写真左) しばらく登ると沢の右岸がやや開け、そこにトチノキやカツラ、シオジの巨木が現れる。そして今日の目的の一つが、「名栗沢のシオジ」の撮影と幹周りの測定である。(写真中)

「名栗沢のシオジ」は2000年の全国巨樹・巨木調査の時に計測され、その幹回りは4.41mであった。あれから15年、この巨木はどれほどの成長を遂げたのであろうか。なんと4.63mと21cmも太くなっていたのである。シオジ大国である日原でも4.63mは大物だ。それも樹高も高く衰えは全く見えない。名栗沢の沢音を聞きながらヒンヤリとした空気に包まれ、この巨木の下でおにぎりを頬張る。ここは本当に東京なのか?・・・と頭が混乱する。

一息ついた後、もう一つの目的の巨樹に向かう。「名栗沢のネジリモミ」、全国的に見ても山中のモミとしては異例の大きさを誇る日原の知られざる名木である。その名の如く幹がタオルを絞ったように捻じれ、その根は猛禽の足爪のように地を掴む。名栗沢のトチノキと並ぶまさにこの森の主である。しかし、この巨樹に近付くとすぐに異変に気付いた。枝葉生い茂る森がなぜか明るいのである。名栗沢のネジリモミは僅かに葉を残しただけの枯死寸前であった。(写真右)

「盛者必衰の理をあらわす」
この巨樹の様子を見たときに、平家物語の冒頭の一文が頭に浮かんだ。名栗沢の森に君臨し続けたこの巨樹も、とうとうその座を譲る時が近付いたのだ。愛着のある巨樹の衰退を見るのは忍びないが、これもまた自然の摂理というべきなのだろう。個人的にはその長きに渡る生涯を褒め称えてあげたい気持ちであった。

さて、涼しげな沢沿いは確かに快適なのだが、ネジリモミからの下りは地味な作業道である。風もそよがない湿度満点の森を、汗をダラダラ、脚もダラダラと下っていく。林道に降り立って八丁橋まで向かうまで、途中にある小滝で顔を洗ったり首を冷やしたりと、なんとかリフレッシュしようとするが気休めでしかない。森林館に到着する頃には両足の太ももがつり、痛みに悶え苦しむはめになってしまった。完全に体が脱水症状を起こしていたようである。

 
     


     
 
ブナを愛でる
2015/06/20

連日の雨にこの日の天気も危ぶまれた。が、天は我の味方であった。前回は同じヨコスズ尾根でも登山道を一杯水まで進んだが、今回はマイナールートでヨコスズ尾根の森を歩きながら、ブナを中心とする巨木を見て歩くことにした。さすがに雨水を含んだ道は滑りやすく、コケたら終わりの谷沿いの道を用心深く進む。そして一石山大権現のツガ、懸崖のツガの様子を伺いながらとある支尾根に取り付く。

尾根の手前で一息つき、いよいよ登り始めたその時に突然その鳥は姿を現した。森の中の木々をすり抜け、大きな翼を広げて悠々と飛び去ったのはクマタカである。その距離は10mくらいまで近づいてくれただろうか。間近かで見たのは初めてではないが、この野鳥の登場は何度見ても大興奮である。姿を見つけて唖然、見送って呆然であった。

この尾根を登り上げる途中にユニークなブナの巨木がある。「ヨコスズの雄ブナ」と名付けたこの木は、通称ポコチンブナと呼ばれる男性的?な特徴があり、今も尚そのシンボルは健在である。(写真左) 森の斜面にあるブナらしく、スーッと伸びた幹と柔かな枝ぶりが美しい。本来であれば女性的の姿を想わせる樹形ではあるが、シンボルの存在が男性あるならば「ヨコスズのオカマブナ」と名付けるべきだったかもしれない。

キツイ支尾根を登り上げると、そこにはヤマボウシの花が咲き乱れている。(写真中) 心地好い風も吹き抜け汗ばんだ体には寒いくらいだ。さらに尾根を登ると現れるのが「大見得のブナ」である。(写真右) かつては残っていた右の枯れ枝が、今回は折れて短くなっている。歌舞伎役者が大見得を切る姿を彷彿とさせることから名付けたものだが、これも現在の姿は「小見得のブナ」になってしまったかもしれない。しかし、尾根筋にあるブナらしく風に影響を受けた樹形はやはり素晴らしい。

さらに上を目指し尾根筋を進み、1300mを超えるピークで引き返すことにした。時折霧が湧き風が抜ける自然林を歩くのは気持ちが良い。尾根筋の馴染みの巨木を眺めながら、もう一度クマタカが現れないかなぁ〜という贅沢な期待を抱きつつ日原の集落へと飲み込まれていくのであった。

 
     


     
 
精一杯の一杯水
2015/05/30

M8.5の大地震の翌朝、最高気温30度を予想する天気予報を聞き流し、恐る恐る久しぶりの日原へと向かった。かなりのブランクがあるために荷物はやや少なめ、脚と呼吸の調子を確かめるようにゆっくり森林館の裏山から一杯水に向けて歩を進める。

最初の九十九折れ急登をようやくクリアし、ヨコスズ尾根の巻道をキョロキョロしながら歩いていると、今までの山行では気付かなかった大きな気配を道下から感じた。普通の登山者なら二の足を踏むこの斜面も、ブランクはあれど根っからの巨樹ハンターにはそこに向かうルートが見えてしまう。迷うことなくガレた斜面を降りて行くと、そこには主幹が折れているもののそれでも枝葉を拡げる巨樹の姿があった。(写真左)

最初は樹皮を見てシオジと思ったその巨樹は、葉っぱを見ると葉先の尖ったハート型をしている。これは日原でも数少ないシナノキの巨樹である。それも4、20mもある大物で、巨樹ハンターのテンションは一気に高まった。が、足場の悪いこのガレ場で必要以上の体力を消耗する。

再び登山道に戻り緑の美しさを満喫しながら登っていくと、ハウチワカエデの葉が透過光に耀き、思わず見惚れてしまった。(写真中) ホウノキ、ミズナラ、イタヤカエデも標高を上げるほどに新緑に近く目に優しい。巨木が林立する尾根をさらに登ると、ヤマツツジがまだ咲いている。新緑を背景に浮かび上がるオレンジの花々。思わずレンズを向けてしまう。(写真右)

のんびり歩きながらもなんとか一杯水までたどり着く。ブランクの割には大丈夫だなぁ〜と思いながら、帰りを考えると時間的に天目山までは厳しい。今日はここまで!と気持ちを切り替え、来た道を引き返すことにした。ところが下りは脚が早いものの、蓄積された疲れと体重が懸かる膝にダメージが現れ始めた。最後の急坂はもはやヨレヨレである。早く集落の屋根が見えてくれ〜と嘆きながらの復帰登山であった。(涙)

 
     


     
 
風神さまに初詣
2013/02/20

とうとう一月に一度も足を運ぶことなく、大幅に出遅れた感のある山行だが、森の神として崇める「風神のブナ」にまずは初詣へと向かうことにした。集落には日陰に雪が僅かに残る程度で、風もなく空は快晴である。山々を見上げると・・・、さすがに白い。風神のブナのある尾根は、いかがなものだろうか。


杉の人工林を登りあげていくと、強い日差しのせいか、梢に降り積もった雪がサラサラと舞い落ちてくる。作業道の上にも雪は残るが、登り憎いほどではない。人工林が終わり自然林に入ると、日当たりの良い尾根ではすっかり雪は融けている。日陰の雪道と、日当たりの良い落ち葉の道を繰り返しながら、目的の尾根筋に登りあげた。


ここまで標高を上げるとさすがに雪は多くなる。見慣れたミズナラやブナの巨木を見渡しながら、さらに標高を上げていく。誰のトレースもない雪景色だが、鹿や他の動物の足跡は転々と続いている。そして他の木々の間から、いよいよ風神さまの姿が垣間見えたきた。


意外にも風神さまの周辺に雪は無く、登る前に望んだ景色ではなかったが、やはりこの巨樹に出会えることは幸せである。前回見た時に比べて目立つ落ちた枝はなく、いつも通りの見事な樹形である。(写真左)(写真中) 雪はなくとも斜面は凍り、撮影する足場はよろしくない。そのために、必要以上に足腰の筋肉を使っている感じだ。


よく見ると、ブナの枝にはツララが下がっている。(写真右) 枝に降り積もった雪が日差しで融け、ブナの樹皮を伝って落ちている時に、再び気温が下がり始めて凍ったものだろう。日差しに輝くそのツララは、風神さまの御威光のような美しさがあり、なかなか縁起のよい初詣になったようだ。

 
     


 
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