東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
天狗のカツラ 
幹周  7.50m (’10.1.23 計測)      樹高  40m       標高  900m 
 
 
 日原集落と奥山を繋ぐ小川谷橋から、日原林道を遡ること5km。そこは清らかな水音響く、名栗沢と呼ばれる谷地になる。「名栗沢のトチノキ」「名栗沢のネジリモミ」など、ここから鍛冶小屋窪にかけては数多くの巨樹・巨木が見られる日原自慢のエリアでもあり、その中の一つに「天狗のカツラ」も含まれている。

 「天狗のカツラ」とは、実は私が見つけて名前を付けた巨樹の一つだ。天狗伝説など一切なく、知らない人には誤解を招くが、「命名」の由来はその樹形にある。下の写真を見て頂きたい。カツラにしては変わった形である。一本の大枝を、重力に逆らうように横方向に伸ばしている。その様子を最初に見たときに、天狗の長く伸びた「鼻」のように感じたものだ。この苔むした大枝には、ギボウシが着生し、初夏には白い花を咲かせて楽しませてもくれる。

 植林の杉木立に囲まれて、巨樹の環境としては褒められたものではない。ただ、この巨樹が伐採されずに残った、ということには感動を覚える。植林作業の日陰を残す憩いの場として、はたまた巨樹を切るには忍びない、という畏敬の念からだろうか。そんな想像もまた楽しい。

 このカツラは私が見つけて名前を付けたと書いたが、正確には巨樹を調査する人の中でということになる。人の手が加わった杉木立に囲まれている以上、このカツラを知っている地元の方もいたことだろう。ただ、私は日原林道を歩いている時に、巨樹の姿は見えずともその「気配」を感じて見つけた巨樹である。カツラが自ら私を導いてくれたような感激が今も忘れられない。
 
 撮影日

 上  2003年  4月29日

 下  2002年  5月14日


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