山から遠ざかってはや半年・・・。特にケガや病ではなかったが、ようやく行く機会に恵まれた。しかし、もはや十一月半ば。日原の紅葉は、集落周辺でもとうにピーク過ぎていた。さて、ここはどこに向かうべきか。日原到着の時刻も遅く奥山へは行けない・・・となると、残る選択は裏山のヨコスズ尾根しかない。
裏山を登り始めると予想通り紅葉の旬には遅すぎたが、それでも燃え残ったような紅葉が所々に見られる。(写真左 ブナ)(写真中 楓)天気は抜けるような青空で、空気は心地よい冷ややかさ。山登りにはまさに快適である。しかし、降り積もった落ち葉は大量で、ただでさえ狭い作業道を覆い隠した。何度も通い慣れた道なので予想はつくが、初めての人であればかなり危険であろう。慎重に歩を進める。
それは、黄葉したイヌブナの巨木を撮影している時のことだった。猛禽の鳴き声に耳を澄ます。声がだんだん近づいてくる。空を見上げる・・・いたっ! 落葉した木々の枝越しに、大きく旋回しながらこちらに向かってくるのは、日原の空の王「クマタカ」である。かっこいい。とにかくかっこいい。惚れ惚れするような飛翔を見せつけ、やがてクマタカは去っていった。
最後に「懸崖のツガ」に立ち寄ってみる。すると、まるでツガ自身が黄葉しているかのように、周りの木々が色づいている。(写真右) 見る角度によっては、ツガから後光が差しているかのようだ。ここだけは何故か黄葉の旬で、「懸崖のツガ」が一年で一番華やかに見える一瞬だったかもしれない。
いや〜久々の山は、サービス満点であった。他にもカモシカは出るわ、日本シカ出るわで山に大歓迎をしてもらえたような気分である。また行かねば!・・・とサボリ癖を棚に上げ、新たに悪びれもせず誓うのであった。 |