東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
オリツキクボの大ツガ
 
幹周  5.10m      樹高  35m       標高  1080m 
 
 
 ツガとモミ。この樹種を即座に見分けられたら、その人は木への造詣が深い方といえるかもしれない。違いのポイントを知ってしまえば、誰にでも分かることではあるが、一般の人にはちょっと難しいだろう。同じマツ科の針葉樹でもあり、樹皮もよく似ているさながら兄弟のような2種である。

 2000年12月、この巨樹を見つけた時に私にはその知識がなかった。幹周りは5.10mの文句無しの巨樹ではあるのだが、残念ながらその樹種が分からない。ツガか、モミのどちらかであることは間違いないと思うのだが、特定するだけの自信がなかった。この日は現場で落ち葉と落果を持ち帰り、自宅に帰って樹種を調べてみることにした。

 今でこそ私には、ツガは樹皮の色がやや赤く葉の先端が丸いなどの違いで、モミとの区別はをつけられるようになったが、一般人でも簡単に見分かる方法がある。それは落ちている実(松かさ)を探すことである。実がアボガドほどあるモミに対し、ツガの実は小粒のイチゴほどの大きさで可愛らしい。

 「オリツキクボの大ツガ」は、日原の針葉樹の中では「倉沢のヒノキ」(6.3m)に次ぐ巨樹だ。孫惣谷を挟んで、対岸の山腹から眺めると、ひと際目立つ端正な姿が見られる。しかし、このツガに辿りつく明確な道筋はなく、知る人もまた少ない。この日原の名木の一つは、このところ頻繁にやって来る私のことを不思議な想いで見過ごしているのかもしれない。

 
 撮影日

 上  2001年  1月09日

 下  2001年  3月27日


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