東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
棒杭尾根のツガ
 
幹周  4.50m      樹高  27m       標高  910m 
 
 
 棒杭尾根と書いて、ボンクイオネと読む。地図などで見ると、「棒杭尾根」と「古」が頭に付いている「古棒杭尾根」という2つの記述がある。日原の地名の特徴として、谷や尾根を登りつめた頂点のことを「OOの頭」と呼ぶ場合が多いが、この尾根の頂点が「棒杭の頭」であることから考えると、棒杭尾根で良いのではないかと思う。また、地元の人はもっぱら棒杭尾根と呼んでいるようである。

 この尾根は、長沢背稜の棒杭の頭から倉沢林道最深部に続く自然林の尾根で、その下部の尾根道から少しだけ外れたところにこのツガはある。現在確認されている日原のツガの中では、オリツキクボの大ツガに次ぐ幹周を誇り、ツガ独特の赤黒い幹がドーンと聳える様は壮観ですらある。幹下部に傷跡が見られるが、今ではすっかり癒合して樹勢には何の問題もないようである。

 ツガは尾根の木と言っても過言ではない。ヒノキと同様に痩せた岩の多い土壌でも根を張り、その年輪の細かさからも成長は極めて遅い。まして山中というサバイバルな環境で、全国的に見ても4,50mのツガは希少であり、この大きさ以下でも保存樹に指定されているものがあるくらいだ。

 人の視点から見ると、晩秋から春の間にかけては、針葉樹の巨樹にとっては晴れ舞台のようなものである。落葉広葉樹が葉を落として幹と枝だけの姿を晒すのに対し、針葉樹は冬山のアクセントであり、枯れ木の中にあって緑の記憶を呼び覚ます残り火のようでもある。ましてこのツガのような巨樹になると、その残り火は松明のように燃え盛る尾根の象徴といえるのではないだろうか。

 
 撮影日

 上  2012年  4月30日

 下  2012年  4月30日


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