長沢谷上のミズナラ

巨樹・巨木

長沢谷上のミズナラ

幹周　　６，３０ｍ　　　　　　　　樹高　　２０ｍ　　　　　　　　標高　　１１００ｍ

　　東京都の最高峰、雲取山。日原からその高みに到達するには、一般的に２本の登山道がある。その一つ、大ダワ道で長沢谷を横切り、長沢谷のカツラから斜面に取り付いてジグザグと進むと、このミズナラの姿の一端が垣間見られるようになる。登山道から外れて少し進むと、この巨樹の根元まで容易に到達できるだろう。

　以前、この巨樹の周りはスズタケと呼ばれる笹に覆われて、写真撮影も楽ではなかった。しかし増えすぎた鹿の食害や、見学者が木の周りを踏み固めた結果、写真のように随分と見通しのよい風景になってしまった。しかしその分、野性味も失われてしまったのがいささか残念でもある。これは金岱山のミズナラと同様に、日原の広報樹としてメディアに取り上げられた巨樹としては仕方ないことなのかもしれない。

　ただミズナラのスケールは、幹周６．３０ｍ以上の存在感を見る者に与える。地上２．５ｍ程で大枝が３本に別れ、その太い一本一本が立派な成木のようにそれぞれの方向で力を誇示しているかのようだ。こんな山深き場所に、紛れも無く数百年の生命が実在する。もし集落から長沢谷まで遡る日原林道がなければ、それこそ訪れる人など皆無に等しかったに違いない。

　日原を代表するこのミズナラは、痛みも少なく生い茂る葉の量も豊富である。秋には大量の実を落とし、葉の無い冬には対岸の林道最終地点からもその巨大な雄姿を確認できる。そこは、長沢谷のカツラとこのミズナラを同時に見られる贅沢な場所で、巨樹ファンにとってはまさに必見ではないだろうか。そして、きっとこれからも二本の巨樹は、我々の眼と心を四季を通じて楽しませてくれそうである。

追記：　長沢谷上のミズナラは、２００８年初頭に写真の向かって右側の大枝が欠損しました。

　撮影日

　上　　２００２年　　５月２１日

　下　　２００５年　１１月０５日

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