東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
スミクボのケヤキ
 
幹周  5.40m      樹高  20m       標高  900m 
 
 
 日原の有名樹「金岱山のミズナラ」に辿り着くには、まず日原鍾乳洞そばの籠岩下から始まるスミクボと呼ばれる急斜面の難所を登り上げなければならない。その水無しの谷であるスミクボが、迫り出した尾根で二又に別れる場所がある。、そして、その尾根の先端近くにこの巨樹は力強く根を張っている。

 スミクボは地形的に風の通りが悪く、夏場の登山では辟易させられる場所である。しかし、汗水を流してこのケヤキに到達すると、そんな憂鬱な気分は一気に晴れること請け合いである。。地上2mほどで二股に分かれるその巨体は、太く逞しい何本もの根で尾根を掴み、苔を纏う谷川の樹皮が古木の趣を悠然と漂わせている。登山道からは見え辛く、予備知識がなければ気付かないかもしれないが、登山の休憩を兼ねて是非見てもらいたいケヤキである。

 この巨樹を見るには、谷川の真下の場所からに限る。どんな大雨が降ろうと、このケヤキが根を張る限り、斜面の流失は有り得ないことを実感できるだろう。現に2007年、台風9号は、奥多摩町日原に630mmという観測史上最高の雨を降らせたが、この周辺にはなんの変化もなかった。このケヤキに限らず、山中の巨樹は概ねそのような大切な役割を担っているようだ。

 日原において現在、5m以上のケヤキは僅か2本しかない。それほどケヤキの天然木は成長するのが困難なのか、あるいは高級材としてすでに伐採されたものか、今は知る由も無い。しかし、そのうちの一本のケヤキの巨樹が、金岱山のミズナラを目指す道すがらに見られるのである。これを見逃す手はないと思うのだが、意外に登山者にはその存在と希少価値を知られていないのもまた事実である。

 
 撮影日

 上  2010年  2月28日

 下  2002年  9月10日


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