東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
逆川のカツラ 
幹周  5.05m      樹高  30m       標高  560m 
 
 
 逆川のカツラは、川乗谷の支流にあたる逆川の右岸にあるが、厳密にいうと川乗谷は日原とは呼べない。しかし、川乗谷は日原川の支流であり、百尋の滝や聖滝などの名瀑を有する魅力的な渓流である。奥多摩の山でも人気の高い川乗山への登山も、この谷を平行に走る林道からアプローチされる方が多いようだ。そんな川乗谷に根付いたカツラの巨樹も、日原の巨樹の仲間の一つに加えさせていただこうと思う。

 ところで、逆川の名前を持つ川(谷)は全国的に見ると少なくは無い。逆川の名前には意味があり、本流の流れに対して反対の方角に流れ落ちる川のことをいう。ここでは逆川に対する本流は川乗谷ではなく、日原川ということになる。川乗山南方の大ダワ付近を源流とする逆川は、川乗谷の聖滝よりやや上流に向かってほぼ西に流れる。かたや日原川は、平石山を挟んで逆川とは反対の奥多摩駅のある氷川に向かって南東に流れている。やはりこの逆川も、本来の意味の条件を満たしていることになる。

 逆川のカツラは、川乗谷との出会いにあるようなもので、その周辺は杉の人工林が拡がっている。下の写真でご覧いただける通り、黄葉の時期に杉の植林の中から異彩を放つその姿は、「よくぞこの木を残してくれた。」と思わずにはいられない。樹形はカツラとしては珍しい5mを超える主幹が健在で、、周りにか細い孫生(ひこばえ)が申し訳程度に成長してる。日原奥地の「天狗のカツラ」も似たような環境にあるが、若い杉の成長がカツラに影響を及ぼさないか心配でもある。

 このカツラに辿りつくには、川乗谷林道から目印の無い踏み後を降り下ることになる。林道を歩く人のほとんどの登山者は、その先の百尋の滝や川乗山を目指すことになり、このカツラの存在を知る人は林業関係者や渓流釣りをする人だけかもしれない。私自身、現在日原の奥地を行動の拠点にしているために、川乗谷を訪れることもなくなっている。しかし川乗谷を詳しく調査をすれば、逆川のカツラのような未知の巨樹・巨木の可能性が、まだまだ残されているような気がする。

                              2009年9月23日 一葉
 
 撮影日

 上  2001年  1月23日

 下  2001年  1月23日


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