東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
オロセの岩抱きカツラ 
幹周  5.00m      樹高  25m       標高  1040m 
 
 
 日原において、幹周が3m以上ある樹種で一番多いものはミズナラである。全体の35%以上を占めるその割合は、日原の森がミズナラを中心として形成されていることを教えてくれている。しかしこれが、幹周5m以上となると話が違ってくる。ミズナラを抑えて、堂々のトップに躍り出るのがカツラである。

 カツラは渓畔林のうちの一つで、水場を好む特性がある。沢や窪に多く自生し、カツラのあるところ、表には見えなくてもその下に水脈が走っていると言われている。水の豊かな日原は、そのカツラが育つ充分な条件が揃っているというわけだ。そして、カツラはその成長の過程で、主幹を失っても孫生(ヒコバエ)という回りの若木が生き残る。その点でもカツラは、他の樹種にない植物のしぶとさを持ち合わせているようだ。

 オロセの岩抱きカツラは、ガニ沢の源頭部にあたる場所に根付いた巨樹である。かつてこの近くでは、ワサビ田が営まれていた跡があり、やはり水と縁の場所に育っている。ただ、このカツラも水場の側だからといって、簡単に巨樹になれたわけではなさそうである。下の写真のように、岩を台座としてそれを大きく抱き込んでいる。つまりこのカツラも、岩に落ちた種が巨樹へと成長した証しといえるだろう。

 このカツラの側のワサビ田跡の水流は、ガニ沢の支流にあたり、最後にそのガニ沢は日原川へと流れ落ちる。そこには「日原川とガニ沢出会いのカツラ」が鎮座して、その水の出会いを何百年と見守ったことになる。岩の上に落ちた種から成長した二本の巨樹は、沢というネットワークで繋がった親子のようでもある。ただ、上流側の岩抱きカツラの方が、大きさから見ても年下であろうと思われることに、少しばかりケチが付くのだが。

 
 撮影日

 上  2001年  1月23日

 下  2001年  1月23日


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