巨木の山桜





魚留滝上の山桜

幹周 2.45m  樹高23m  標高700m


































撮影日 2012年4月30日



 山桜の巨木を見つけることは難しい。もともと陽樹である桜は、人里で大切に育てられない限り、なかなか巨木にまでは成長できないものである。私のように、都心で生活しながら休日に日原を訪れる者にとって、そんな数少ない巨木の山桜が満開の姿を見せてくれたとしたら、それはまさに幸運に巡りあえたと言う他はないだろう。

 倉沢林道の魚留橋手前から取り付く作業道を、少しだけ登ると道沿いにこの巨木のヤマザクラはある。この道を最初に通った時から、すでにその存在には気付いていたが、満開時どころか花の時期にさえ訪れたことはなかった。ところが先日、知人を山に案内するにあたりその場所を検討していると、このヤマザクラのことがふと頭に浮かんだ。もしかしたら、咲いているかもしれない・・・と想ったのである。そして、結果的には見事に満開の日に訪れることができた。ただ、撮影となるとこれが難しい。この日は曇り空で下から見上げても花の色が映えず、対岸の山肌を背景にしようとすると他の木々の枝が邪魔になるといった具合なのだ。左の写真は、苦し紛れになんとか撮影したもので、残念ながらとても満足のいくものとは言えなかった。

 しかし、私が奥倉沢と呼ぶ倉沢林道奥の森には、このヤマザクラを含めて四本の山桜の巨木が見つかっている。山中の山桜は巨木にはなり難いことから、幹周が2m以上で巨木として認められてはいるが、それでも滅多に見つかるものではない。それが四本もある、というだけでもこの地は私にとって山桜の聖地と呼ぶにふさわしい。そして来年こそは、倉沢谷の対岸から望遠レンズを使って、満足のいく写真を撮りたいと願っている。

                                                  2012年5月8日 一葉


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