お気に入りの桜
根っぱり桜
撮影日 2011年4月30日
金岱山のミズナラへ行くには、小川谷林道から籠岩下の登山口より入るのが一般的であろう。その登り始めの九十九折れの急登の途中に、大きく扁平な岩が突き出した場所がある。根っぱり桜は、この岩の上に落ちた種が成長し、今やその岩を跨ぐ形で根を張り枝葉を拡げている。幹の大きさに比べて不釣合いなほどの根の逞しさが、この桜の置かれた環境を如実に物語っているようだ。
上の2枚の根元の写真は、岩の両側に伸びたそれぞれの根の様子である。岩の上に土壌はなく、桜の成長には土壌のある岩の下に根を伸ばすしか手段は無かったのであろう。その凄まじい「生」への執念に敬意を表し、地元では以前から「根っぱり桜」と呼ばれていたようである。日原保勝会が発行している金岱山周辺マップにも、この桜は記載されている。
かなり以前になるが、私は一度だけこの桜の満開の姿を見たことがある。その時は人を案内しており、撮影をする時間的なゆとりがなかった。しかし、そのうちに撮影できるだろうと簡単に考えていたのだが、それがなんと今日まで出来ずにいる。残念ながら上の写真も、満開を数日過ぎてしまっていた。山中にある一本の桜の旬に出逢うことは、とても幸運なことなのだと思い知らされるこの桜との縁である。
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