お気に入りの桜





八丁山のオオヤマザクラ

撮影日 2005年5月01日

 近づきたいのに近づけない・・・。そんなどうにもやるせない木々がある。日原は標高がそれほど高くないわりに谷の傾斜がきつい場所が多く、目には見えているのにアプローチできない巨樹やサクラが存在する。この「八丁山のオオヤマザクラ」もその一つで、日原川からそそり立つような急斜面に根付いている。春、孫惣谷林道の一部から満開の花を垣間見ることができるが、他の木々に隠れてそっと顔を出しているような姿がなんとも愛しい。
 見た目には周りの木々と比べてかなりの大きさ誇り、「金岱山のオオヤマザクラ」に引けを取らない程の巨木のサクラに違いない。ただ近づけないからには、それはあくまでも想像の域を出ないのである。どこか手の届かぬ憧れの人のような存在に近い。
 このサクラは、私に「オオヤマザクラ」が日原にあることを教えてくれた最初の木でもある。林道から見つけたそのピンク色の気品は、かなりの時間私の足を止めたものだ。こんな私の想いを、この遠く離れたサクラは気付いてくれているのだろうか。



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