東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
錐木小屋のシオジ 
 
幹周  4.70m      樹高  28m       標高  930m 
 
 
 清流小川谷を見下ろす急斜面のガレ場に、その巨樹は体を大きくねじるような状態を保ちながら逞しく根を張っている。ガレ場の岩も苔だらけなのだが、この巨樹もかなりの部分に苔が密生して、それが木としての貫禄大いにを増しているようだ。

 かつてこの巨樹の撮影中、誰かに見られているような気がした。そこで斜面の上を見上げてみると、ニホンザルが数匹、私の方を向いている。目が合うと「キャッ、キャッ」と言いながら逃げるでもなく騒いでいたが、距離はかなりあったのでコイツは害は無いと思っていたのだろうか。

 この巨樹が見える位置までは、何度かガイドとして人を案内したことはあるが、さすがに急斜面のガレ場となると、根元までというわけにはいかない。ただ、巨樹写真家で友人の、高橋弘さんを根元まで案内した時は危なかった。高橋さんの足が岩の間に挟まった弾みに、体が宙に浮いて私のすぐ近くまで飛んできた。幸いにも高橋さんは、見事に着地して災難を逃れたが、今思い出してみても奇跡的で、幸運な出来事だったという気がする。

 巨樹は、地形に合わせてその姿を成長させる。急斜面にガレ場という厳しい条件を物ともせず、このシオジは見得を切るような見事な樹形にまで成長し、逞しい筋肉質の根元でこの巨体を支え踏ん張り続けている。逆境をも跳ね返すその底力を個人的にも見習いたいものである。

 
 撮影日

 上  2003年  8月26日

 下  2005年 12月04日


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