上の山のアカマツ
幹周 3.19m('10.2.07計測) 樹高 23m 標高 850m
このアカマツが、自生木か植栽によるものかは分からないが、集落の裏山に幹周りが3mを超える大物として以前より知られていた。アカマツは典型的な陽樹で、自然林が長い歳月をかけて作り上げた極相林の中では、子孫を残すことが出来ないと言われている。これまで随分私も日原の森を歩きまわっているが、同じ針葉樹でもツガやモミ、カヤ、ヒノキ、ネズミサシの姿は目にしているが、集落の裏山以外でマツを見た記憶がない。
この上の山とは、遥か昔から秩父へと繋がる道を持つヨコスズ尾根のことで、アカマツも一杯水へと続く道沿いにある。この巨木以外にもアカマツは道沿いに点在し、集落からそれほど離れていないことからも、かつて植栽されたものではないかと思うのだが、これもあくまで想像の域を出ない。もしかしたら、かつて植栽されたマツの子孫にあたる自生木なのかもしれない。
現在このアカマツの巨木は、スギの人工林に囲まれている。杉の植林以前は、そこにあった木々が伐採されたことになるが、このアカマツだけは残されている。これは集落の人にとって、やはり意味のある存在であったということだろう。マツは神の依りしろである。かつて修験道で栄えた集落の入り口に、秩父側からやって来る人々を、門松のように向かえ入れる役目をしていたのではないだろうか。
しかし、いまや人工林のスギ成長は、アカマツの脅威にもなっている。巨木であるがゆえに樹高もあり、かろうじて杉よりも梢が高く光を得られるが、さらに杉が成長すると陽樹であるマツは衰退をする他はない。樹形的にも上へ上へと目指すスギに比べて、横に枝を張るマツでは分が悪い。私のホームページも、日原の野生をテーマにしているだけにこのアカマツを掲載するかどうか迷ったが、集落の歴史の生き証人(木)としても価値があり、まだまだ元気なうちに巨樹のリストに加えておこうと思う。
2010年2月11日 一葉
撮影日
上 2010年 2月07日
右 2010年 2月07日
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