東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
クラミクボ上のツガ
 
幹周  4.12m      樹高  30m       標高  930m 
 
 
 小川谷に併走している小川谷林道を遡ると、左岸側にクラミクボと呼ばれる谷が現れる。水の流れは小川谷との出会い付近でやっと僅かなに見られる程度で、まさに水無しの谷を意味するクボの典型であろう。真相はわからないが、私はクラミクボとは「暗み窪」ではないかと思っている。谷の切れ込みが深く、両岸の木々が生い茂ると季節には、谷底に届く光も限られて、事実薄暗いものである。だからクラミクボ、というのは安易だろうか。

 巨樹・巨木を探そうとするならば、本来森がこういう暗みの中にある時期には向いていない。このクラミクボのツガを最初に見つけた時も、落葉紅葉樹が全て葉を落としている一月であった。木々の枝越しに視界が効くこの季節は、他の木々より一際高い梢や、回りの木々より遥かに太い幹がはっきり観察できる季節でもある。この時期に巨樹を見つけて、他の季節の撮影に備えるというのが私の毎年のパターンになっている。

 このツガはクラミクボの右岸側上にあり、それを左岸側の巡視道から見つけたものである。葉の生い茂る季節に対岸の様子は見えず、偶然にその日にそこを通らなかったなら、今も未知の巨樹であったかもしれない。ただし、接近にはかなり気を使った。このツガの上の方には人工林が拡がっているが、このツガを境に斜面は急激に落ち込んでいる。撮影も足場を確保する場所が限られるために、満足な出来とは程遠い結果となってしまった。

 最初に対岸から見つけた時は、もしかしたらヒノキか?・・幹周りは5m以上か?などと想像が膨らんだが、ちょっと期待が大きすぎた。近づいていくとそれはツガであり、幹周は5mには届かないことが見た目で分かった。しかし日原で5mを超える針葉樹は4本しか確認されておらず、ツガに限っては僅か1本しかない。4.12mとはいえこのツガは、やはり対岸から並々ならぬオーラを放っていただけの存在感を十分に持ち合わせていた。

 
 撮影日

 上  2007年  2月06日

 下  2007年  2月06日


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