東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
金岱山のハリギリ 
幹周  3.07m      樹高  27m       標高  1250m 
 
 
 ハリギリとは面白い樹木である。幼木の頃の幹や枝には、薔薇のようなトゲで覆われていて自己防衛の強い特徴を持っている。ところが成木になるとそのトゲは消え、幹は分厚い樹皮に深い縦の彫りが入る独特の容姿に変貌する。それは、見た目にも明らかに樹種が同定できるほどの個性であり、さらに巨木クラスになると凄みさえ感じられる。枝先も荒々しく、冬に見るその形状は柔らかさとは無縁と言っても過言ではないだろう。

 ハリギリは漢字で「針桐」と書き、読んで字の如く桐によく似た針のある木ということらしい。ハリギリの新芽は、山菜としても食されることを考えると、きっと山の動物にとっても美味に違いない。しかし、その餌食になることからの防衛の手段が進化して、トゲを持つに至ったのではないだろうか。同じウコギ科であり、春の山菜として知られるタラノキにも、やはりトゲがあることも同じ理由からだろう。

 この「金岱山のハリギリ」のある森は、いろいろな樹種の巨木が多く見られる貴重な森である。他に分かっているだけでもミズナラ、クリ、ブナ、イヌブナ、ケヤキ、ミズメ、イタヤカエデ、メグスリノキ、ホウノキと10週類の巨木があり、その総数は50本ほどにも上る。けして広範囲ではないにも関わらず、この巨木密度は太古より手の入らなかった森の一角であったことが伺える。

 秋の森を歩いていると、カエデの形に似た大きな葉が落ちていることがある。周りを見渡すと、だいたいハリギリの木を近くで見つけることができる。このようにかなり特徴のある木であっても、一般の人にはほとんど馴染みが薄い樹種でもある。「金岱山のミズナラ」に訪れる人は数多いが、そのそばにこの巨木とは別の大きなハリギリがあることを、どれだけの方がご存知だろうか。

              2009年1月18日 一葉
 
 撮影日

 上  2002年 10月22日

 下  2010年  1月16日


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