巨樹・巨木 
 
 ナラテイロのミズナラ 2
  幹周  5,00m        樹高  30m        標高  1255m
 
 山の斜面にある木のほとんどは、平地と違い真上に成長することは無いに等しい。かなり真上に育ったようでも、概ね斜面の谷側にやや傾いているものである。ところがこのミズナラのように、逆に山の中の平地に育った木が、かなり不自然に傾いている場合がある。樹勢が衰えて傾いたわけではなく、明らかに傾いたまま成長した証しが巨樹の背中には見事に残されている。

 例えば人間でも、立ったまま足を揃えて体を前傾したとしよう。その時に腹筋には殆ど力は入っていないが、背筋には前傾の程度に比例して負荷が掛かることがわかる。その負荷を続けていると、当然背筋は発達することになり、巨樹になればなるほどその変化は顕著となる。

 左の写真をご覧頂きたい。このミズナラを背中から撮影したものだが、幹の一部がまるで魚の背ビレのように発達しているのがお分かりだろうか。また下の写真で見ると、その背ビレは地面から幹の最上部まで続き、傾いた巨体を支える梁のようになっていることがわかる。重力に従うなら、とっくに倒れてもおかしくないこのミズナラは、その重力に反発するように背中で「ツッパリ」続けている。

 日原の顔「金岱山のミズナラ」も、山の平地にありながら大きく傾いているために、背中がよく発達した樹形をしている。このような巨樹は、恐らく若木の頃に光に恵まれていなかったのではないだろうか。他の木々に邪魔され、それでもなんとしてでも光を求めた結果、体を大きく傾けるしか方法は無かったのかもしれない。その証拠に、金岱山のミズナラもナラテイロのミズナラ2も、傾いた幹のその先に、今では太陽の光が燦燦と降り注いでいる。
 
  撮影日

 上  2009年 12月23日

 下  1999年 10月13日


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