東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
鳥居谷のカツラ 
幹周  7.30m      樹高  30m       標高  900m 
 
 
 小川谷には、山のあちこちから美しい水が流れ込む。その中の一つに、小川谷中流域の右岸側から流れ落ちる鳥居谷も含まれる。「ウトウの頭」というタワ尾根上の一つの頂から、山肌深く切れ込んだ谷ではあるが、水量は以外にも細く、人が渡るにも困らない程度である。

 このカツラは鳥居谷のかなり下部にあり、そこから谷は何段かの滝となって小川谷と出会うことになる。山の作業道沿いにあるともいえるが、この作業道が崩落の名所で、一般の人は足を向けるべきではないだろう。ただ場所が場所だけに、以前から地元の人には馴染みのあるカツラで、その上流部には一昔前までワサビも栽培されていた。

 かつてこのカツラは、今よりもっと大きな巨樹であったと思われる。下の写真を見て頂きたい。幹周り7mを超えるカツラの巨樹にしては、それに見合う孫生(ひこばえ)が全く見られない。今ある主幹が元々の主幹かは判らないが、外見上はスーッと幹を伸ばしたカツラらしからぬ樹形である。その主幹の樹皮を見ると、他の木が接していたような後がくっきりと残っている。恐らく、少なくとも谷側にはもう一つの幹があり、何らかの原因で倒れたに違いない。

 これは個人的な話ではあるが、日原で巨樹の写真を撮る際に、最も危険を感じながら撮ったものが左の写真である。このカツラと鳥居谷の流れを一緒に写したいと思い、なんとか三脚を据えてカメラを構えた場所は、落ちたらあの世という斜面であった。か細い若木が、唯一私の足元を支えてくれていた。

 
 撮影日

 上  2000年  5月23日

 下  2000年  1月25日


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