東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
孫惣谷のカツラ 2 
幹周  8.00m      樹高  25m       標高  975m 
 
 
 孫惣谷林道は奥多摩工業の採掘場へ続く道でもあり、一般車の通行は出来ない。そのために林道奥の森へ入るには、御呂瀬橋から徒歩で行くことになり、登山者の姿を見掛けることは少ないエリアのようだ。しかし、それだけに知られていない巨樹・巨木も多く、意外にも林道のすぐ脇に見られるものさえある。この孫惣谷のカツラ2も林道下にあり、孫惣谷の細々とした流れの脇に根付いている。

 ただ、これは「孫惣谷のカツラ1」にも言えることだが、このカツラのある環境はけして褒められたものではない。写真では見えないが、10m上流には堰堤が立ち塞がり、谷の流れが不自然に変わったことでカツラの根を抉ってしまったと思われる。左の写真でご覧の通り、それは根元の土壌まで運び去られてしまうほどの惨状である。大丈夫なのか・・・?と心配になるが、不思議と樹勢に衰えはないようだ。

 周りの環境を除けば、このカツラは日原を代表するような立派なカツラで、その雄大な枝振りも苔生した幹の形状も申し分のない巨樹であろう。「孫惣谷のカツラ1」からの距離も30mほどと近く、もともとカツラの成育には適した環境だったのだろう。シオジの巨樹も側にあることから、かつては水流も安定していたことだろう。できることなら堰堤が出来る前に、この二本のカツラの巨樹を見てみたかったものである。

 これは下の写真を撮っている時のエピソードだが、こんな冬の時期に孫惣谷に入る人など滅多にいるものではない。まして積雪は深く、膝よりも上まである雪を掻き分けて進んでいた。そして、三脚を据えて撮影に取り掛かろうかと思っていると、上の方からガヤガヤと声がする。振り返ってみると、そこには奥多摩工業で働く人達が数人集まって、私を見下ろしていたのだ。多分、私が遭難者ではないかと心配してくれていたようである。

                              2011年1月03日 一葉

 
 撮影日

 上  2000年 12月26日

 下  2001年  1月23日


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