東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
欠伸のカツラ 
幹周  5.38m      樹高  43m       標高  880m 
 
 
 樹木は、大きくなればなるほどその個性が表われてくる。若木の頃には見られなかった瘤や洞、他にも巨体を支えるために発達した根や幹の形など、自分の置かれた環境に順応するための手段として、巨樹にはそれぞれ特有の個性があるものだ。 「欠伸(アクビ)のカツラ」と名付けられたこの巨樹などは、個性という面では日原でも際立った存在になるだろう。

 私が、最初にこの巨樹に出会ったのは、丁度左の写真の位置からであった。そこで、誰もがまず目に飛び込んでくるのは、幹にポッカリと開いた穴であろう。私は「木がアクビをしている」と思ったものである。その印象が、このカツラの名前の由来となっていて、どこか人間臭く、見る者の目を楽しませてくれる。当然ながら幹の内部は洞になっていて、人が頭を入れて中を覗けるのも魅力の一つだろう。

 このカツラの個性は、ただ見た目がユニークというだけではない。写真では分からないが、実はかなりの長身を誇る木でもある。2007年12月、巨樹写真家の高橋さんとこの森の巨樹を再調査した際、ワイゼという高い精度で計測できる機器で調べた結果、樹高は43mにも達することが分かった。日本全国のカツラを見慣れている高橋さんでも、その数値には驚きの色を隠せなかったようである。

 かつてこのカツラの口から、トチノキの幼木が顔を出したことがあった。小動物が栃の実を持ち込んで、そのまま忘れ去られて芽吹いたものであろう。個性的なカツラが、さらにユニーク度を増したのは言うまでも無い。ただ残念ながら、そのトチノキがそれ以上成長することはなかった。きっとカツラには、アクビの邪魔であったのだろう。
 
 撮影日

 上  2010年  8月08日

 下  2000年  6月21日


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