東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
人形山尾根のメグスリノキ1
 
幹周  2.75m      樹高  27m       標高  950m 
 
 
 金岱山頂上(1325m)からタワ尾根を下り、「金岱山のミズナラ」よりやや上の人形山から東へ派生する尾根を人形山尾根という。それは知る人ぞ知る自然林の下降ルートではあるが、登山道もなくやや急な斜面を下ることになり、一般の登山者にはほとんど利用されていない。しかし、ミズナラを中心とする巨木の密度は、細い尾根にも関わらず意外にも濃いといえよう。

 この人形山尾根には、2本のメグスリノキの巨木がある。2本とも美しい紅葉を見せる名木ではあるが、他の木々よりも紅葉の遅いメグスリノキは晩秋には特別な存在に思える。カエデ類ではありながら葉の形が全く異なるために、少し離れた場所からでもこの木の特定がしやすいのだ。おまけに紅葉の美しさは絶品である。特に日光を通した葉の色は、秋の最後を飾るにふさわしいオーラがある。

 残念ながら、この写真2枚は日の光に恵まれていない。この日はとても天気が良かったのだが、山の上の方で時間を費やしてしまったために、太陽はすっかりタワ尾根に隠れてしまっている。正直なところ、この時期にこの紅葉に出会えるとは思わなかった油断であった。この木本来の美しさを目にするのは、来年以降のおあずけとなってしまった。

 しかしこの日、面白いものを見ることができた。ここより高い位置にある「金岱山のメグスリノキ」の種の落下を目撃したのだ。メグスリノキの種は、他のカエデ類と同じような形はしているが、大きさは別格で長さが4cmほどもあろうか。その種の落下は、まるで小さな竹とんぼのようであった。クルクルと回転しながら風に乗り、落下するまでの儚い舞もまた美しいものであった。
 
 撮影日

 上  2008年 11月23日

 下  2008年 11月23日


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