東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
弓反りのブナ 
 
幹周  3.74m (’10.2.28 計測)      樹高  25m       標高  1000m 
 
 
 日原川の最終地点から石尾根へと伸びる唐松谷登山道は、その始まりから富田新道の分岐に至るまでの間、数多くの白ブナを目にすることができる。しかも、見上げるばかりの巨木も多く、日原でも有数のブナ林が形成されているものと思われる。そして、その登山道を歩き始めて最初に出逢う巨木のブナが、この「弓反りのブナ」となる。

 このブナに最初に出逢ったのは1998年7月で、今から12年も前のことになる。とにかく一目見たら、誰もがその樹形のインパクトに少なからず驚かされることになるだろう。猛禽類の足を想わせるような根元もさることながら、大きく谷側に反り返った幹は、登山道を横切るアーチとなって伸びている。よくぞ何の支えもなく、この樹形を保ってこれたものである。ただこの時私は、このブナの最後はもうそう遠くないのではなかろうか・・・と考えていた。

 2010年2月28日、私は7~8年ぶりに唐松谷を訪れた。もしかしたら倒伏しているかもしれない・・・という想いがあり、登山道を歩き始めてすぐに現れた巨木の倒伏を見て、「あ~っ、やはり持たなかったか・・・。」と嘆いたものである。ところが、久しぶりの訪問ですっかり忘れしまっていたが、それは2000年に倒伏したミズメの巨木だったのである。そのことに気付いて登山道の先を見ると、そこには見覚えのある樹形のブナが私を悠々と見下ろしていた。

 「弓反りのブナ」は、相変わらず太く長い幹を大きく反らせてはいるが、12年前からの私の心配をよそに何食わぬ顔で佇んでいるようにも見えた。唐松谷登山道の道沿いにあり、このブナに見覚えのある登山者も少なくはないだろう。この道は下りのルートとして利用されることが多く、このブナを目にするとこの日の山行も終わりに近いことを意味する。とは言っても、それは日原林道に車を待機されている方に限られるのだが。

               2010年6月14日 一葉
 
 撮影日

 上  1998年  9月08日

 下  1998年  7月23日


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