東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
ヨコスズの雄ブナ 
 
幹周  3.36m      樹高  25m       標高  1150m 
 
 
 人が一人一人,それぞれ見た目に違うように、木々もその一本一本に個性がある。それは幼木や若木の頃よりも、巨樹・巨木と呼ばれるようになった老樹において、最も顕著に現れるもののようだ。その根の張り方や枝振り、幹のシワやコブ、他にもウロの有る無しなど、一度目にしたその木の個性が強いほど、次回訪れた時の記憶が鮮明に残っているものである。

 ヨコスズの雄ブナはその典型的な巨木で、一度見たら絶対に忘れることのない特徴を持っている。幹周が3.36mという堂々とした太さを誇り、枝振りも樹冠の拡い申し分のないブナであるが、それだけだとしたら他のブナの巨木と大して差はない。ポイントは、このブナに私が「雄ブナ」と名付けたことにある。ブナは雌雄同株で、木によって雄と雌という区別はなく、本来全く的外れのネーミングである。しかしこのブナは、どうしてもその見た目が「雄」なのである。

 左の写真をご覧頂きたい。それは元々、長く伸ばした枝だったはずである。幹の最も下部にあるために、このブナの成長と共に日光に当たる確率が悪くなり、いつしか不要のものとして淘汰されてしまったのだろう。その折れてしまった枝が傷口を癒合して、丸みを帯び、幹になんともユーモラスな突起を残すことになってしまった。このブナには迷惑千万かもしれないが、それはどう見ても「雄の証し」以外には思えない、絶妙のバランスなのである。

 写真家の高橋さんにこのブナを紹介した際に、ふざけて「ポコOンブナ」などと言って笑いあったものの、さすがにこの名前は度を越している。「男ブナ」というのもなにか露骨な感じがするので、やや男臭さ?をカモフラージュ気味に「雄ブナ」とすることにした。雄ブナのすぐ後ろには、同じブナ科のミズナラの巨木が付き添っている。このミズナラに女性的な特徴があるのかないのか・・・みなさんのご想像にお任せすることにしよう。
 
 撮影日

 上  2010年  6月06日

 下  2010年  6月06日


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