東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
孫惣ブナ 4 
 
幹周  4.15m      樹高  25m       標高  1100m 
 
 
 現在見つかっているブナの巨樹で、日原最大となるのがこの「孫惣ブナ4」になる。ところが、この幹周4.15mというのはちょっと眉唾もので、その数字には計測時のカラクリがあり、日原最大というのはあくまでも数字の上でのことである。ただし、カラクリがあったとしてもこのブナが、惚れ惚れするほどの魅力に満ちた巨樹であることに私は太鼓判を押すことができる。

 その計測時のカラクリというのは、巨樹の幹周りを測る環境省の定義に由来する。地上より1,3mの位置で幹をメジャーで水平に巻いた値が幹周ということになるが、それはあくまでも平地のはなしで、斜面だらけの山中となるとまた新たな基準があるのだ。

 左の写真をご覧頂きたい。この場合、木の根元の基準が斜面の上側になる。つまり、根元の一番高い位置が計測の基準となる。そして、そこから1,3m高の位置にこのブナの問題がある。木の後ろにコブがあるのがお分かりだろうか。本来、幹周りの測定ではたとえそこが1.3mの位置でもコブがあればそれを避けなければならない。ところがこのブナの幹周4.15mは、残念ながらコブも含めた数値で実際は4mほどではないだろうか。

 孫惣ブナ4は、1,2,3とは少し離れた場所にある。しかし、このブナの周辺には将来の孫惣ブナ候補が多く、見事なブナ林を形成している。孫惣谷林道から見ると、そのブナ林の先頭で一際目立つ雄大な樹形がこのブナである。我々よりも遠い昔に生まれ、我々よりも生き長らえるあろうこの生命は、そんな人の決めた基準など何処吹く風といった感じで、どうやら何の関心もなさそうである。
 
 撮影日

 上  2000年  5月06日

 下  2004年  2月01日


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