東京最後の聖域「にっぱら」 |
巨樹・巨木 |
唐松谷のブナ |
幹周 3.30m 樹高 32m 標高 1050m |
小雲取山から長沢谷へと伸びる野陣尾根は、対岸の日原林道から見ると良く分かるのだが、全く人工林による侵食がなされていない希少な自然林である。なかでもその野陣尾根から唐松谷に拡がる南斜面には、多くの種類の巨樹・巨木が見られることから、ほとんど人の手が入っていない森であることが伺える。しかしいかに南斜面とはいえ、石尾根の山々が壁となり、けして日照時間に恵まれている場所とは言い難い。 特に、唐松谷近くの森になると、その日照時間の少なさは木々の樹形となって表われているようだ。それは木の樹高が、他の森に比べて異様に高いことにある。人の手が加わらない森の中で、限られた日光を求めた木々の競争は、当然上へ上へと枝葉を伸ばすことになる。この森で巨木となった木々は、そのほとんどが地面から15mほどまでの枝葉は淘汰され、まさに「丸太」の様相を呈しているのだ。 この「唐松谷のブナ」は、その典型的な巨木の一つで、スーッと長く伸びた幹は見事という他ないだろう。ブナ特有の樹皮の美しさもあって、森の中でも一際目立つ存在であり、唐松谷登山道沿いにあることからも目に付きやすい。「弓反りのブナ」と同様に、ここを利用する登山者には馴染みの巨木ではないだろうか。 1998年、私が最初にこの地に足を踏み入れた時、今まで見てきた木々や森のイメージとは全くスケールが違うことに驚かされた記憶がある。それは、木々が光を求めて作り出した戦いの空間であり、丸太のよう幹を持つことで生き残った強者たちの棲家でもあったのだが、その時は「なんでこんな背の高い木が集まっているんだろう?」と、ただ首を捻るばかりだった。 2010年6月20日 一葉 |
撮影日 上 2010年 2月28日 下 1998年 9月09日 日原の巨樹・巨木 樹種別巨樹・巨木 ブナの巨樹 Home |
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