東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
ハンギョウ尾根のブナ 
 
幹周  4.07m      樹高  28m       標高  1300m 
 
 
 同じブナ科のミズナラとブナではあるが、その見た目は全く似たところが無い。樹皮が黒く切れ込みが深いミズナラに対し、ブナは滑らかで白い。葉の形も「これぞ葉っぱ」というようなブナに対し、ミズナラは先太で縁のノコギリ葉が荒く鋭い。そして、概ねミズナラの方が長生きをする傾向にあり、その分巨樹になる可能性も高いと言えるだろう。

 日原にはブナもミズナラも多く見られるが、巨樹・巨木の本数ではやはりミズナラには敵わない。幹周が5mを超えるものだけでも20本以上存在するミズナラは、まさに日原の巨樹の象徴であろう。しかし、その希少性から判断するとブナの4m以上は僅か8本と少なく、より貴重な存在ということになる。ハンギョウ尾根のブナはその8本の中の1本であり、老樹としては痛みも少なく、今も逞しい樹形を保っている。

 このブナは、10年以上も前にその存在が確認されていたが、それを知るのは現在まで発見者のTさんのみだった。私は今年、たまたまこのブナのおぼろげな在処を知るに至り、いつか探しに行こうと目論んでいた。ハンギョウ尾根のどこかにある・・・、ということは分かっていたが、尾根筋にあるとは思えなかった。私は、紅葉も終わって葉を落とした木々の梢を見上げ、ブナの大きな樹冠を獣道頼りに探して歩いた。

 広い森の中で、僅かな情報を元にその巨樹を探し出すことは難しいことではあるが、経験を重ねるにつれある種の勘が働くようになるものだ。ブナの特徴を知り、森の地形を考え、あとは、その巨樹の持つオーラのような気配を感じられるかどうかであろう。そして、そのブナはやはりあった。周りの木々とは別格の存在感で、幹に刻まれた深い皺も、巨体を支える動き出しそうな太い根も、出逢えた感激をさらに倍増するような魅力溢れる巨樹であった。

                 2010年12月05日 一葉
 
 撮影日

 上  2010年 11月27日

 下  2010年 11月27日


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