巨樹・巨木 
 
ウトウのミズナラ 
 幹周  6,00m        樹高  25m        標高  1250m
 
 
 2002年11月12日、偶然にも私の誕生日に見つけたミズナラの巨樹である。ウトウの頭と呼ばれるタワ尾根の頂から、孫惣谷に切れ込むウトウクボ。その左岸の樹林の中に、圧倒的な存在感を示して君臨するこの森の主と呼べる存在であろう。登山道からは遥か遠く、水源巡視道からもかなり離れているために、余程の物好きでもない限り訪れるような場所ではないが、そんな私に森は最高のプレゼントをしてくれたようだ。

 それにしても直菅系の堂々たる幹は、周囲の木々をそれこそ貧弱に見せてしまうほどだ。そして、スズタケに覆われた一帯は、獣道が僅かにあるだけの手付かずの自然林である。まさに「野生のミズナラ」の見本のような存在だろう。ただ、それだけに人を案内するには二の足を踏む。見つけて以来何度か訪れているが、いつも一人の山行となっている。この知られざるミズナラ巨樹に、私は迷うことなく「ウトウ」の冠を付けることにした。

 この森には、この巨樹以外にも幹周3~4mクラスのミズナラが多く、育つには適した環境といえるだろう。日当たりに恵まれ、この斜面の下からは水が湧き出ていることから、豊かな土壌であることが窺い知れる。もっと良く調べれば、ウトウのミズナラと同等か、あるいはそれ以上のスケールのミズナラにも出逢える可能性を秘めている予感がする。しかし、集落からかなり離れていることもあり、残念ながら現在まで新たな調査をするには至っていない。

 誰にも会うことも無く、ここに一人ぼんやり座っていると、自分もこの野生の一部になっているような気持ちになる。鳥さえも近くにやって来て、私を恐れることも無い。巨樹と向かい合うには、これ以上の恵まれた環境はないのかもしれないとも想う。いっそ、このまま誰にも知らせずに、そっとしておきたい場所があってもいいのかな、と考えている。
 
  撮影日

 上  2002年 12月03日

 下  2003年  5月13日


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