巨樹・巨木 
 
 小川谷上のミズナラ
  幹周  6,00m        樹高  28m        標高  950m
 
 
  2000年、環境省の巨樹・巨木林フォローアップ調査の時に見つかった巨樹で、日原で6mを超える貴重なミズナラのうちの一つである。名前のとおり、小川谷の瀬音が聞こえる緩やかな尾根上にあり、その姿は小川谷を挟んで対岸の林道からも望むことが出来る。ただ、登山道のあるような場所ではなく、地元の作業道からのアプローチとなるためこのミズナラを目的に訪れる人は皆無に等しい。

 近くには苔むしたイタヤカエデ、シオジ、イヌブナなどの巨木も見られ、湿度の高い環境にあることが窺える。この巨樹も、他のミズナラに比べて苔の量が遥かに多く、独特の個性を醸し出すのに一役かっている。地上1.5m程で主幹が3本に別れる「ヤス型」で、巨樹にしては痛みもほとんどない優良樹といえるだろう。2本、あるいは3本のミズナラの合体したものだと思われるが、それでも6mの幹周りは圧巻である。

 かつてここに、知り合いのフリーライターの女性を連れてきたことがあった。その頃彼女は、ネットの仕事で「天使」という立場からエッセイなどを書いていたのだが、この場所をいたく気に入ってくれた様子だった。その後、巨樹写真家の高橋さんと再びこの森を訪れた際に、共通の知人であった彼女のことを思い出し、二人でこの場所を「天使の庭」と名付けることにした。ちなみに当のご本人は、たぶん今もこのエピソードは知らないはずである。

 ところで、、この巨樹の近くには「舞茸」の発生するミズナラもある。私が知る数箇所のポイントの一つで、時期と予定が合えば毎年でも訪れたい場所である。野生動物ともよく遭遇し、先日はこの巨樹の撮影中に真後ろを凄い勢いで走り抜けるものがあった。あわてて振り返るとそれは大型のイノシシで、私は驚きのあまりしばらく放心したものである。
 
 撮影日

 上  2003年  9月02日

 下  2005年  9月02日


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