東京最後の聖域「にっぱら」 |
巨樹・巨木 |
唐松谷のクリ |
幹周 4.54m(’10.2.28計測) 樹高 18m 標高 1000m |
日原山地においても、樹木の伐採が全くない自然林と呼ばれる地域は残念ながら限られてしまう。戦後の復興のためにかなりの巨樹の伐採があったと言われているが、集落に近いほどその傾向も強かったのだろう。名だたる巨樹の殆どは、運搬に不便な山奥にあるといっても過言ではない。 この「唐松谷のクリ」は、例外に漏れず集落とは遠く離れた山奥にあるばかりではなく、日原でも有数の自然林の中に根付いている。登山道があるだけで人工物とはほぼ無縁のこの森には、ブナを中心とした巨木が目白押しで、歩いているだけでその野性味を体感できる場所である。ちなみに私が10年ほど前に、親子のツキノワグマに遭遇したのもこの森であった。 このクリを最初に見つけ時期が冬場であったため、樹種の特定が曖昧でミズナラだと思っていた。しかしその後の葉の調査からクリと判明したのだが、いずれにしても凄い樹形をした巨樹である。その身を一回転捻らせた挙句、上にではなく横方向に幹を伸ばし成長を続けている。このクリに何が起きたのかは想像の域を出ないが、恐らくこの巨樹が若かった頃に、厳しい生存競争に晒されていたのは間違いないだろう。 唐松谷の渓流が垣間見えるこの場所は、谷底であることから日照時間も短く木々の成長にはけして恵まれているとは言い難い。しかし、ブナやハリギリの巨木なども多く、森として見るならむしろ豊な自然林ではあるのだが、それだけに地表に光が降り注ぐことなど期待は持てず、実生の木が新たに成長するのは困難を要する。唐松谷のクリの樹形には、そんな環境で生き抜いたこの木の歴史が刻まれている。 |
撮影日 上 2010年 2月28日 下 2010年 2月28日 日原の巨樹・巨木 樹種別巨樹・巨木 クリの巨樹 Home |
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