東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
ナラテイロのミズメ 
 
幹周  3.23m      樹高  27m       標高  1350m 
 
 
 森林の伐採は、残された自然林に思わぬ影響を与える場合がある。ナラテイロの頂上に位置するこのミズメは、周りの木々が伐採された当時も、そこそこの大きさではあっただろう。しかし、おそらく今の伸び伸びとした樹形とは程遠い姿であったに違いない。

 森の木にはそれぞれ個性があるが、それは育つ環境に適応した形でもある。特にその枝の形は、太陽の方角と深い関わりがあり、木が日光を求め続けた証しのようなものだろう。しかし、自然林の中では他の木との競争も激しく、自分の思い通りに幹や枝を伸ばせない場合が多い。その苦労の形が木の樹形から見て取れるものである。

 ところが、その競争の最中に周りの木々が伐採されてしまったら、残された木は一体どうなるのか?それこそ何の遠慮も無く、光を求めて枝葉を拡げることになるだろう。ナラテイロのミズメは、まるで公園の中に一本だけ立っている巨木のイメージに近い。ある日、突然競争から開放されたミズメは、そのようにして美しい樹形を手に入れたのだろう。

 森の巨木らしくない・・・と言えなくもない。しかし、人工林をひたすら登り上げて、実際このミズメを目にすると、思わずその雄大な樹冠の拡がりに声をあげてしまう。さらに、白い松のような樹皮を持つその幹は、どこか気品さえ漂うような美しさがある。それはまるで、人工林の狭間に残されたオアシス、「ナラテイロ」を見守る女神(ヴィーナス)のようだ・・と言ったらちょと大袈裟だろうか。

             2010年1月3日  一葉
 
 撮影日

 上  2009年 12月23日

 下  2008年 11月04日


   日原の巨樹・巨木

   樹種別巨樹・巨木

   カンバの巨樹

   Home 
 
Copylight(C) Ichiyoh 2008-2015.All rights reserved.