東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
ハナノキ尾根のウダイカンバ 
 
幹周  3.20m (’11.3.27計測)      樹高  23m       標高  1250m 
 
 
 鵜松明樺と書いてウダイカンバと読む。この木は名前は、鵜飼(うかい)の松明(たいまつ)として利用されていたことが語源で、その松明は燃えやすく、雨の中でも消え難いそうである。ミズメとよく似た外観を持ち、専門家でも無い限りは樹皮でどちらか判別することは難しいだろう。また、どちらも樹皮に傷を入れるとサロメチール臭があり、桜のような横筋の皮目を持つこともまた同じである。

 しかし、このウダイカンバとミズメには、樹種を見分ける上で決定的な違いがある。それは葉の大きさで、ウダイカンバの葉はカバノキ科の中では一番大きくハート型をしており、ごく普通の大きさのミズメとの差は歴然である。私も幹を見て迷ったら、上を見上げて葉を確認してから同定することにしている。しかし、これはあくまで葉の繁る時期限定となるが。

 幸いにもこの巨木は、昨年の七月にすでに下見をしており、その際に葉を調べててウダイカンバであることを確認していた。ウダイカンバの巨木は珍しく、現在見つかっているものの中で幹周りが3mを超えるものとなると、日原においてはこの僅か一本しかない。それにしてもこの巨木の樹皮は、年季の入ったド迫力の風貌を持つ。樺独特の皮目を残しながらも、新たな生命力がその樹皮を破り、さらなる幹の成長へと繋げている。圧倒されるほどの大きさはではないが、歴戦の兵(つわもの)のような雰囲気がする。

 2000年の巨樹・巨木林調査において、実は日原では6本のウダイカンバの巨木を調査したことになっている。しかしそれは、私の知識の未熟さが招いたことであり、このハナノキ尾根のウダイカンバ以外は全てミズメである可能性が高い。ウダイカンバの巨木は全国的にも非常に少なく、この日原に6本もあれば、「ウダイカンバの里」と言っても過言ではないだろう。しかし、今も他の5本のウダイカンバは、データベースに登録されたままになっているのが心苦しい。
                             2011年4月2日  一葉
 
 撮影日

 上  2011年  3月27日

 下  2010年  7月03日


   日原の巨樹・巨木

   樹種別巨樹・巨木

   カンバの巨樹

   Home 
 
Copylight(C) Ichiyoh 2008-2015.All rights reserved.