東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
金岱山のメグスリノキ 
 
幹周  2.15m      樹高  25m       標高  1250m 
 
 
 巨樹の基本的な定義とは、地上から1.3mの位置で幹周りが3m以上のものとなっているが、樹種によっては3m以下でも巨樹と認定されるものもある。それはその木の性質上、樹齢を重ねても大きくなれないものであり、巨樹というよりは名木の類に含まれるものかもしれない。メグスリノキも大木になることは稀で、3mを超えるものは全国でも6本ほどしか確認されておらず、この木に関しては2m以上でも巨樹として認めらている。

 メグスリノキは、日本にだけ自生するカエデ科の樹木で、葉の形を見るとのカエデとはとても思えない。しかし、紅葉の美しさはそのカエデ以上で、私の印象では紅葉の一番美しい木ではないかと思っている。その名の通り、古くから葉と小枝を煎じて服用したり洗眼すると、目の病に効果があるということで知られた薬用植物でもある。別名、長者の木とも呼ばれているが、これは翼果が風に舞う様子から「蝶の木」、これが転訛して長者の木になったそうである。

 金岱山のメグスリノキは、私にその紅葉の美しさを見せつけた木である。金岱山頂上直下の森で、他の広葉樹はほとんどが落葉して明るくなった梢に、一本だけ燃え盛る炎のような姿をしたこの木があった。もともとそこにあるのは知っていたが、その紅葉を見たのは初めてである。あまりのインパクトに、暫くは撮影ができなかった。そして、この世にこんな美しい色があるのかという感慨で、その場を立ち去り難かったものである。

 この木の存在は、恐らく私しか知らないだろう。2000年の巨樹調査の際に、この辺りを一人で調査したのは私であり、その時に2mを超えるメグスリノキを2本見つけたうちの一本である。そして紅葉の旬に出会えたのがその4年後、それにしても随分と私をもったいぶらせてくれたものである。
 
 撮影日

 上  2004年 11月07日

 下  2004年 11月07日


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