東京最後の聖域「にっぱら」
 巨樹・巨木
 
犬麦谷の大ブナ 
 
幹周  5.60m      樹高  20m       標高  900m 
 
 
 2000年の環境省の巨樹・巨木林フォローアップ調査の際に、実はこの巨樹の回りにも調査は入っている。しかし、不思議なことにその時は発見されず、数年後に私が探索中に見つけたこともあり個人的にも想い入れはひとしおである。しかしそんな経緯がなくとも、この巨樹は間違いなく日原の隠れた名木の一つと言えるだろう。

 ブナと言えば、白神山地でも有名な「白ブナ」が人気であり、世間の認知度も圧倒的に高い。しかしそれとは別に、、「黒ブナ」とも呼ばれるイヌブナもあり、名前の通り樹皮が「白ブナ」よりもやや黒いこと、その成長の過程でカツラのように何本もの株立ちで成長することに特徴がある。確かに、見栄えという意味では一本樹の「白ブナ」の方に分がある。

 この大ブナは、紛れも無くその「黒ブナ」ではあるが、実は「白ブナ」の特徴を持っているハーフのような「迷木」でもあるのだ。まず、色が白い。私が最初に見つけた時、見た目で「白ブナ」と思えたほどだ。そして、株立ちの樹形ではなく、堂々とした一本樹でもある。さらに主幹から横に突き出た枝が、カーブを描いて上に向かって伸びている。この日原の森で、数多くの「黒ブナ」を見ているが、このような「白ブナ」似の「黒ブナ」はこれ以外にない。

 しかし、何といってもこの巨樹の特徴はその根にある。痩せた尾根の岩場に育ったせいだろう。土を求めて伸ばした幾本の歪な根に、これまでの成長の苦闘が刻まれている。私にはそれが、まるで人間の脳のように見えたものである。ちなみに現在の測定法で、幹周が5.60mということは「日本一の黒ブナ」と言っても過言ではあるまい。

 
 撮影日

 上  2004年  9月12日

 下  2004年  9月12日


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